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全国アホ・バカ分布考

全国アホ・バカ分布考 ― はるかなる言葉の旅路蝸牛考を読んだ流れで買って積んでおいた松本修「全国アホ・バカ分布考 ― はるかなる言葉の旅路」。先日考証要集を読んでいたらこの本がチラッと登場していたもんで本棚から引っ張り出してきた次第。大阪はアホ、東京はバカ。その境界線はどこなんだ? というところからはじまって、全国のアホ・バカ表現の分布調査という壮大な試みへと発展。そして最終的にはアホとバカの語源を探るところに至る。

言語地理学ってほんと面白いなー。マスコミ人である著者に対して、本業の学者の人たちが真摯に対応してるのがなんかいいなとおもった。あと序盤、「探偵!ナイトスクープ」の番組内で北野誠が一軒一軒聞き込みをしてアホとバカの境界を突き止めていたけど、あれを見てわたしも柏餅のみそあんの境界線を探す旅をいつか実行しなければならぬ、という気持ちを新たにした。ああ、そろそろ柏餅出てくるかな。

オートバイ

オートバイ今月いろいろあってほとんど本読んでない。。で、たぶん Amazon で「こんな本も買っています」で出てきててそのまんまのタイトルに導かれるようにして買ったような気がするところの A.ピエール・ド・マンディアルグ「オートバイ」

若い女がレーシングスーツに身を包み、ハーレーに跨がり国境を超えて愛人の元へと早朝のアウトバーンを突っ走る、みたいな話。主人公レベッカ、峰不二子を彷彿とさせるかとおもいきや、胸は小さいらしい。ま、ストーリーの内容はともかく(笑)、バイクで走る疾走感が気持ちいい。ああ、最近バイク乗ってない・・・バイク・・・バイク乗りたい・・・・・

新選組血風録

新選組血風録年末年始にかけて、個人的新選組祭りが開催されていた。日本史がからっきしダメなわたくしは司馬遼太郎「燃えよ剣」で基礎教養(笑)と大まかな流れを摑み、浅田次郎「壬生義士伝」でボロクソに泣いて、新選組ものの古典と言われる子母澤寛の三部作に至る。そしてこちら、司馬遼太郎「新選組血風録」。「燃えよ剣」が本編ならば、これは言わばサイドストーリー的なもの。幹部から平隊士まで、いろんな新選組隊士のエピソードが集められた短篇集。血なまぐさい時代にあって、人間味あふれる人物たちに魅了される。井上源三郎とかいいオジサンだ。るろうに剣心で育った身としては、斎藤一はもうあの斎藤一のイメージしかないし、沖田総司も瀬田宗次郎に変換されちゃってるんだけど(笑)、でもやっぱいいキャラだ。

さて、新選組ものばかり読んでいてすっかり幕府側になってしまったわたくし、薩摩長州土佐キーッ! みたいになっとりますが、ぼちぼち竜馬がゆくでも読みますかねw

蝸牛考

蝸牛考 (岩波文庫 青 138-7)同僚とも以下略男と話していてこの本の話になり買ったところの柳田邦男「蝸牛考」。蝸牛を表わす方言は、京都を中心としてデデムシ → マイマイ → カタツムリ → ツブリ → ナメクジのように日本列島を同心円状に分布する。それはこの語が歴史的に同心円の外側から内側にむかって順次変化してきたからだ、と柳田国男は推定した。すなわちわが国の言語地理学研究に一時期を画した方言周圏論の提唱である(解説より)。こんな解説みて、読まずにおれませんて。

今となっては方言周圏論だけで説明することはできないんだろうけど、方言がどのように広がっていったのか、そのひとつの説としてとても興味深い。わたしは「かたつむり」で育ったクチだけど、本当にものすごい量の方言がある。また、その派生に児童が大きく影響しているというのも面白いなぁとおもった。

めす豚ものがたり

めす豚ものがたりたしか堀江敏幸の書評集に載っていて、すげータイトルだなオイとかおもって買って積んでおいたものとおもわれる、マリー・ダリュセック「めす豚ものがたり」。若くてセクシーで魅力的な女性がメス豚に変身してしまう、という話。変身といえばカフカのそれがまず浮かぶわけで、あちらは朝起きたら虫になってたんだけど、こちらはだんだん豚へと変貌を遂げていくその過程と、人間と豚との行き来が描かれている。

なんていうか、だんだんブタになっていくとか、自分に重ねちゃってね・・・。あ、お前は若くてセクシーで魅力的な女性じゃねーだろってツッコミはいりませんよ。ええいりませんとも。わかってますから。ええ。でその描写がやけにリアルに感じられて、グロテスクなんだけどなんか他人事とおもえなくてガクブル。なんとも妙な体験であった。だんだんブタに・・・ああ。。。

こつの科学

「こつ」の科学 ― 調理の疑問に答える冷める時に味がしみるとか、ナスは油通しするとか、黒豆煮る時は鉄釘入れるとか、天ぷらの衣は混ぜすぎないようにするとかって、理屈がわかっててするのとそうでないのとではかなり違う気がする。料理は科学だなぁ、もっと知りたいなぁ、とおもって、「料理の科学」を読んでみたんだけど、これ著者がアメリカ人なので日本料理のことが全く書かれていなくて物足りない。というわけでもう1冊、杉田浩一「こつの科学 ― 調理の疑問に答える 」である。

いつも何気なくやっている手順が、科学的にどのような変化をすることでそうなるのか、というのがよくわかって、終始「へーへーへーーー」と言いながら読んでた。知らなかった新たなこつも得ることができて、大満足の1冊であった。

漂流

漂流先月からの流れで個人的に吉村昭祭りになっていた。その中から1冊、「漂流」。江戸時代、嵐で難破し黒潮に流され無人島に漂着した土佐の船乗り長平の、史実をもとにした小説。

長平を乗せた船が漂着したのは、伊豆諸島最南端に位置する鳥島だった。水も湧かず、植物もまともに育たない無人の島で、仲間は一人また一人と倒れていく。そのような極限状態にあって、この長平の生き様が胸を打つ。無人島にたった一人取り残されて、まともな精神状態でいられるだろうか。ただ生きていることに感謝して、念仏を唱えて。すごいわ。。また、生活の手段。限られた資源からいろいろなものを作り出したりして生活していくわけだけど、それが可能なのもこの時代だからこそ。現代人がこの状況に陥ったら、あっけなく餓死していることだとおもう。

この小説において、あほう鳥はかなりの存在感である。貴重な食糧であると同時に、渡り鳥であるあほう鳥の動きと一緒に季節が移ろいでいく。その淡々とした時間の流れが切ない。なんだかあほう鳥にやけに親しみがわいてしまった。 そして、バランスのとれた食事と適度な運動というのは、今も昔も、都市生活でも無人島生活でも同じなんだなぁとしみじみ。食べること、そして生きることを改めて考えさせられた。

冷い夏、熱い夏

冷い夏、熱い夏6月くらいに予備知識なしで数ページ読んで、あ、これは8月に読もう。と決めて積んでおいた吉村昭「冷い夏、熱い夏」。末期の肺癌に侵された弟の闘病、そして死に至る過程を、兄である「私」が見つめた記録。長編小説とあるけど、ノンフィクションに近いのかな?

この本が上梓されたのは30年近く前で、当時は癌告知=死の宣告であり、患者には告知しないのが一般的だった。筆者も、弟には頑なに病名を隠し通している。だけど、日に日に衰えていく中で、本人がわからないわけないんじゃないか・・・とおもう。それで疑心暗鬼になって、家族との関係がおかしくなるのも嫌だし。父上は自分が癌だって知っていたし、当時と現在を比べると医療は格段に進歩しているわけで、本人の性格とかいろいろ違うこともあるんだけど、でも、死に至るまでのその描写がすごく緻密でリアルで、読んでいてとにかく父上とかぶってしかたなかった。だけどあれからちょうど1年経った今この本を読んでいるのは、何か意味がある気がしてならない。生きることと死ぬことを考えに考えていた1年前。そのことを思い出すきっかけになった。

しかしこのタイトルがまた絶妙だな。本当に冷たく、そして熱い夏だった。

卵子老化の真実

卵子老化の真実ガクブルしながら手に取った、河合蘭「卵子老化の真実」。わたしは現在 30歳である。焦る必要はない・・・と言い聞かせているけど、でも決して悠長にはしていられない年齢だとおもう。子供を産むには。

この本を読むとまさにそのとおりで、30代後半以降の妊娠出産が当たり前になったとはいえ、35歳の妊娠力は20代の半分に低下し、「卵子の老化」は染色体異常、流産など様々なリスクを増加させてしまう。ヒトの生理は変えられないのだ。じゃあ早く産みましょうと言っても、いろんな要因でなかなかそうもいかないのが現代社会。わたしの周りにも30代後半や40歳を超えて初めての出産をした人はいるし、いろんな人がいるのは当たり前。考えさせられることは多いけど、でも、とりあえずわたしは・・・なるべく早く産みたいなぁ。。とおもってる。けど、どうなるやら。。

ヨーロッパとイスラーム

ヨーロッパとイスラーム―共生は可能か知人の tweet より、内藤正典「ヨーロッパとイスラーム ― 共生は可能か」。トルコに行ってイスラム圏の文化に触れてきたところだったので、興味が湧いて読んでみた。

第二次大戦後、復興に必要な労働力としてヨーロッパに移住したムスリムは、現在二世、三世を含め1500万人にのぼると言われている。そのようなムスリム移民たちが、今のヨーロッパ社会でどのように生活しているのかがよくわかる。世俗分離のキリスト教と、それが不可分なイスラーム。受け入れ国であるドイツ・オランダ・フランス、それぞれの社会における現状の軋轢を分析しつつ共生の可能性を探る。公教育の場でのスカーフ着用問題とか、そんなんどうでもいいじゃん! とかおもうんだけど、それっておもいっきり無宗教な日本人的感覚なんだろうなぁ。日本では宗教的な背景は薄いにしても、同じように移民による犯罪だとか治安の悪化だとかという問題があるわけで、たいへん興味深く勉強になった。