1週間にわたってお送りしてまいりました「西へ」の連載も終ったというのにまた長文ですよよろしくどうぞ。今日は母校の話をします。とはいっても都の西北大学ではなく、高校です。
私が通っていた高校は、都内にある私立の女子校である。言わずと知れた名門・女子学院・・・ではなく、女子学院と名前が似ている超無名校である。時々その女子学院と勘違いされて、「すごい!超頭いいじゃん!」とか、「まじで!お嬢様じゃん!」とか言われるのだが、実に面映いというかかたはらいたしというか、「いや、その女子学院じゃないんだヨ…」と答えるのは非常にばつが悪い
今時そんなんありかよっていうくらいの校則の厳しさと制服のダサさで(いや、私はあれはあれでいいと思っているのだが)、決して頭のよろしい学校というわけではなく、大学への進学もいまひとつ。そんな学校に生徒が集まるはずもなく、生徒数は少子化の煽りを受けて年々減少の一途をたどり、ついに中学に至ってはわずか1学年1クラス、高校でもたった2クラスという惨憺たる状況である。空き教室だらけ、立派な温水プールも故障したまま修理もされず使われておらず、校舎に生徒の姿があまりない、なんともうら寂しい学校になってしまった。
しかしながら、私はこの学校が大好きだった。もちろん今も。というか、卒業してからもっともっと好きになった。生徒が少ないだけあって、先生方は実に親身になってくれる。すごく生徒のことをよく見ていてくれているのだ。周りの友達には刺激をもらったり癒されたり、くだらないことでゲタゲタ笑ったり一緒になって辛いこと苦しいことを乗り越えたり。いい影響をたくさん与えてもらった。この学校で出会った友達、先生、過ごした日々、得たもの、それは何者にも代え難く、今の私の中に生きている。
とまあありきたりなことを書いて終わるのではなく、ここからが本題。
ウチの学校は、毎日生徒が掃除をしている。よってすごくきれいなのだ。校舎は木を基調としたあたたかい雰囲気で、実に素晴らしい。てなワケで、かねてから母校を(つぶれてしまわないうちに)撮りに行きたいとおもっており、ちょいと時間ができたので行ってきた。
駅をおりると、当時とはだいぶ変わっていて、すごくきれいになっている。そういえばずっと工事していたっけ…。懐かしい学校までの道のりをぼんやり歩く。といっても駅から徒歩2分程度なのですぐに着いてしまうわけだが。
校舎は少し高くなった坂の上に立っている。毎日上り下りしたスロープを上がって行く。校門の前で足を止め、一礼する。当時は「規則」というかんじで行われていたわけだが、武道の人が道場とかに入るときにするのと同様、これは心からの「礼」ができてこそ意味があるものだよなと私はおもっていた。だから、しない人に風紀委員とかが無理矢理させようとしてもそんなの意味はないのになあと冷ややかな目で見ていたとかいないとか。
午後4時になろうかという時間、夏休み中で人っ子ひとりいない校庭は寂寥感で満ちていた。それでもやはり、この学校は美しい。そう思った。芙蓉の花が咲き誇っている。芙蓉は、この学校のシンボルである。
高揚理想女黌開 明正心姿婦道培
朝詠夕吟頌聖徳 芙蓉映旭緑風回
さて正面玄関を入り、事務の人に校舎内を撮影してもいいかと聞いてみる。ところが、なんと学校は4時までで、もう閉めてしまうとのこと。なんと。しかしここまできてあっさりひきさがるわけにはいかない。せめてあの木の校舎を少しだけでも撮りたい。通じたようで、じゃあ、5分だけ。ということで許可をもらい、速攻で階段を駆け上る。5分で撮れるわけないがな。
校舎中かけずり回り、懐かしさに浸る間もなくひたすらシャッターを切る。露出補正?そんなんしてる余裕ない。ちきしょう、教室に入れない。暗い、いくら何でも暗すぎる。でも人がいないから周りの目を気にせず這いつくばれるぜ。夏休み中だというのにホコリひとつ落ちていない、流石だよTJG 。
あっと言う間にタイムリミット。ものの10分程度で校舎を後にしたのであった。あーーーーーー不完全燃焼。ぜったいリベンジしてやる!