彼と出会ったのは今年の夏だった。いや、正確には去年の夏だというべきかもしれない。私は、彼にずっと恋い焦がれていた。完全な片想いだった。私にはとても手の届かない存在だと思っていた。それでも私はどうしても諦めることができずに、ただただ彼を想っていた。
そして、想いが通じたのか、ついに彼は私にふりむいてくれた。
彼と過ごすようになってから、世界は変わったように見えた。全てのものが彩りを増し、辛いことも彼と一緒なら楽しく思えてくるほどだった。彼と出会ったのは夏だったけれど、季節は過ぎ、冬に近づいていた。私は冬が大好きで、その冬を彼と過ごせるのはとても幸せだった。いつもあたたかく私を包み込んでくれるから。
なのに。
それは突然の出来事だった。
彼は、事故に遭った。
私は、彼を失った。
彼のいない世界は、とたんに色褪せて見えた。いつもそばにいるのが当たり前で、彼がいなくなるなんて考えもしなかった。いなくなってはじめて、その存在の大きさに気づいた。彼の代わりなんているはずもなかった。彼じゃなきゃだめだった。
私はただ、きっと、きっと戻って来ると、ただそれを信じて、祈って、はやく、はやく戻ってきて、と、毎日毎日そればかりを考えていた。私にできることは、それしかなかった。
今日、家に帰ると、私宛の小包が届いていた。それはとても軽く、でもとても丁寧に梱包されていた。
差出人は、ボーズ・サービスセンター株式会社。
TriPortが戻ってきた♡
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