土佐日記(三)

高知県立美術館のつづきから。

いったん閉館で外に追い出され、再び開場。芝居をみる。チェルフィッチュ「三月の5日間」。これ、最初どーゆうことかよくわかんなかった。だって観客に話しかけてるんだもん。時系列もバラバラ、演じる役もバラバラ、みたいな。でも、みてるうちにわかってきた。なんつーか、微妙なズレと、リフレインと、変な動き。それらで不思議なリアリティがつくられてるというか・・・。日常のほんとに何気ない動作とか会話なんだよね。それを舞台上でやってる。すごく不思議なような、でも妙にリアルな感覚だった。

The Museum of Art, Kochiで、公演後に演出の岡田さんのアフタートークがあった。観客からの質問みたいなのもあって、そのときに「東京弁の違和感」みたいな話があった。この芝居の中に、渋谷とか六本木とか麻布とか、東京のすごく具体的な地理の描写が出てくる。わたしも観てるときに、自分は東京の人だから宮益坂のほうがどうとか、六本木の交差点がどうとかってのはリアルにわかるんだけど、高知の人ってそれわかんないよな、とおもった。でもそーゆうのって知らなくても自分の中のイメージで広げられるから、それもおもしろいんだろうね。んで、標準語ではあるけど、いわゆる若者言葉みたいな喋りで、キャラによって口癖があったりしてそーゆうのが気に留まったんだけど、高知の人からすればその標準語そのものが違和感なんだよね。それも狙ってる、みたいなことを言ってて、なるほどー、とおもい、東京人のわたしが高知でこの公演を観て他の人の感じるところも聞けたのはなかなかできない経験だったのかも、とおもった。

R0016112.JPGで、宿にむかう。宿は桂浜にとった。月の名所らしいし、朝散歩したいなとおもって。まあ、天気悪かったからなにもみえなかったんだけど。すこし離れているけどこの時間はもうバスはとっくにないので、タクシーで移動。が、つかまらない。とにかくタクシーがつかまらない。もう歩いていこうかとおもうくらいつかまらない。あまりのつかまらなさに泣いた。マジ泣きした。高知なんかキライだと。わたしどんだけ泣き虫なんだと。40分くらい、大きい交差点の脇で手を振ったりぴょんぴょん飛び跳ねたりウロウロしたりしてた。そんでやっとこさつかまり安堵。はあ。そしたらこのタクシーのオジサンがめちゃめちゃイイ人。宿がちょっとわかりにくいところにあったようで、地図を渡したんだけどよくわからない。んで、もうあとはすぐ近くなはずだからテキトーに探します、って言ったけど、「いや、必ず送り届けるから」と言ってメーター切って一緒に探してくれたのでした。ううう。オジサンやさしーよオジサン。

そんなワケでなんとか宿に到着。やんでいた雨がまた降り出し、その音を聞きつつ軽く飲む。月も天の川もみえないけど、静かないい夜だった。宿の人もとってもいい人で(東京からひとりでやってくる私を怪しんでいたようだけどw)、高知なんか嫌いだと言って泣いたこともすっかり忘れ、高知大好きだーとかおもいながら、眠りにおちた。

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4 thoughts on “土佐日記(三)

  1. by petite-tomo at

    妹を誘ったのだけど、夏期講習あるからとフラれました。
    彼氏つくれってさ。つくろかな。粘土かなんかで。
    まーなんだかんだで気楽ですわ。好きに動けるし。

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  2. by sugi at

    ああ、いいですね。旅先で芝居。二重にわくわくします。しかもチェルフィッチュというのが最高です。

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  3. by petite-tomo at

    おや sugi さん!ふふふ、楽しかったです。東京ででなく高知で見たからあった発見もあったし。とても楽しめました。

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