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銚子ツーリング

今年はなんか知らんが千葉方面が手薄だ。近いと見せかけて意外と遠いということに気づいてしまったから、とか、房総は冬にとっておこう、とか、いろいろ理由はあるんだけど、今年ももうあと半月を残すのみ。千葉だ、千葉へ行こう。界隈の皆さんがこぞって房総に行ってはおいしいもん食べてるのを指くわえて見てるだけじゃつまらんのだよ。わたしも食べるッ!!

つーわけで、銚子へ。ウチから銚子だと高速に乗るのも微妙なかんじなので、下道をちんたら行く。千葉街道から R296 成田街道に入りひたすら東を目指す。冬の朝の太陽は眩しくて、だけど日差しの暖かさはまったく感じられず、寒い。手が凍る。

成田あたりで青看板に銚子の文字が現れる。このくらいの時間でようやく日差しが暖かくなってきた。成田空港の近くを走っていると、頭上を掠めるようにすぐ近くを飛行機が飛んでいく。なかなかの迫力。

R0016950道の駅多古で休憩した後、まず立ち寄ったのは青っぽい方のブログ情報により刑部岬。ここから見渡せる飯岡港は、東北地方太平洋沖地震で津波の被害を受けたそうだ。そういえば千葉県旭市といえば、先の地震で地味に大きな被害を受けた場所だった。

つづいて本日の目的、銚子のおいしいもんを食べにいく。事前のリサーチにより選ばれしお店は浜めし。思惑どおり11時過ぎに到着。すでにお客さんは入っているものの混雑するでもなくちょうどいいかんじ。

R0016960で、わたくしは刺身定食、CBR の人はオススメの三色丼を注文。いや、わたしもできれば(ビジュアル的に)三色丼行きたかったけど、わたしイクラ嫌いだしウニもあまり得意じゃないし。。でもこのウニはすごくおいしかった。ウニは見た目がアレなので積極的には食べないけど、おいしいものは本当においしいとおもう。甘くてとろける。

お腹を満たしたら、免許取ったばかりの頃に来て以来の犬吠埼へ。その時は灯台を遠目に君ケ浜の公園をウロついてたんだけど、今回は灯台に上ってみた。眺めよし。灯台の階段が九十九段あることをやたらとアピールしてたけど、九十九段ってぜんぜん大した段数じゃなくね?とか話してたんだけど、今九十九って打ってて気づいたけど、九十九里とひっかけてるのかも?灯台付近には少しお土産屋などがあるけど、おもっていたよりも寂れた印象であった。

R0016984犬吠駅。ここで銚子電鉄の手焼きのぬれ煎餅が食べられると聞いてやってきた。が、昼休み(?)だかなんだかで、焼きたてにはありつけず・・・。む、無念。でもぬれ煎餅はしょうゆしみしみでおいしかった。せんべい大好き。

R0016993さて CBR の人は帰り東関東道にのるので、ならばついでにと鹿島神宮へ。ここは去年の5月に来たんだけど、なんかもっと遠い昔のことのようだ。前は境内の中をものすごい歩いた印象があったけど、わりとすぐだった。ここ鹿島神宮も地震の被害を受けていて、鳥居が崩れてなくなっていた。ニュースで見たときかなり衝撃を受けたものだ。鳥居があったところにはご神木が植えられていた。

そして帰路。あっという間に日が落ちる。行きは昇る日が眩しかったけど、帰りは沈む日が眩しい。銚子に行って帰ってくるとはそういうことなのだ。日中はだいぶ暖かくなったけど、日が沈むと一気に冷え込む。R356 を快調に飛ばしたり工事渋滞にハマったり迷ったりしつつ、R6 にでて帰宅。走りを楽しめるような道は皆無だったけど、天気はいいし、おいしいもんも食べて大いに満足の1日であった。

総走行距離:273.7km [Map]
写真:GRD3 10/86, iPhone 0/10 [Flickr]

旅の日

R0016801今年の旅の日は、所用で茨城へ。所用とは言うけど、仔細をここに記せないだけで旅の日にはこれ以上ない所用なのであった。2日前の予報では雨だったので絶望的だったが、昨日になって晴れ予報に転じたので決行することに。

7時に家を出発、R4 を北上する。以前も郡山まで走ったことがあるのだが、R4 ってこんなずっとハイペースな道だったっけ・・・。80km/h で走っていても地元ナンバーに煽られる煽られる。後で宇都宮ナンバーの VTR 氏に聞くところによると、新4号バイパスは夜走っているときに信号で止まろうものなら後ろから引かれるらしい。。おそロシア。いや、おそ栃木。いや、はや栃木?

途中、いやな雲が広がり、雨が降ってくる。青い空が見えたりもしているのでしばらく我慢していたが、耐えかねてカッパを着る。カッパを着れば、もちろんただちに雨は止む。人生そんなもんだ。

さて、下道混んでるといかんとおもって早めに出たのはいいが、順調すぎて早すぎる感がでてきた。宇都宮であたりで餃子でも食べていこうかという考えが脳裏を掠めたが、なんとか思いとどまった。r10 に入り、那須烏山を経由して R293 へ。

道の駅みわ。集合時間は12時だったのだが、到着は10時(笑)。途中写真撮ったりして時間つぶしたのに。張り切りすぎである。でも、道の駅は野菜とかいっぱいあってなんだかんだで時間を過ごす。漬け物とかおいしくて試食しまくっちゃった。長くてぶっといゴボウが安くて、なんとかしてバイクに積めないものかと模索したが断念。白菜もまるごといっこで130円とか、ああ、野菜積んで帰りたい。。

そして本日の本題、所用を済ませる。ふたたび降ってきた雨も止んで、あたたかい日差しが降り注ぐ。旅の日はこうでなくっちゃ。とはいえその後はすぐに常磐道で帰路。常磐道ってはじめてのったけど、ここもハイペースに流れていた。

今日はまたしても雨に降られるなどしたけど、よき旅の日となった。我がホネたんがこの1ページを飾れることを心から嬉しく思う。

総走行距離:301.7km [Map]
写真:GRD3 2/17, iPhone 0/2 [Flickr]

AOKI ツーリング

R0016783
べつにスーツを買いに行く旅に出ていたわけではない。AOKI takamasa が八ヶ岳で写真展をやるというので、ツーリングがてら行ってきた。ホントは来週ならライブがあったりするようなんだけど、もしも天気的に行けなくなるとやなので今週行ってしまうことにした。

5:00 実家発。辺りは真っ暗だ。同じくツーリングのつもりで実家入りしている兄は、まだ寝ていた。寒いけれど、先週よりはいくぶんマシである。R463 で入間、R299 で秩父を経由し、十石峠を越えて佐久穂に出る。はずだった。

R0016685ところが十石峠がまさかの通行止め。新潟方面の通行止め情報はかなりチェックしていたんだけど、ここは完全に油断していた。しかもあろうことかなんと今日はツーリングマップルを積んでない。電波がかなりきわどかったが、iPhone があって助かった。

引き返して r45 と r93 で迂回。走りにくい箇所もあったけど、けっこう楽しめたのでよしとする。R141 で清里、r28 に入って長坂方面へ。かなり早く出たので、迂回したりあちこち寄り道していたにもかかわらずオープン前に到着した。

R0016735ギャラリートラックスは田舎のちいさなギャラリーといった雰囲気。こういう感じ、すごく好きだなぁ。まだ時間前なので庭先をウロウロしたりしていると、青木さんたちがやってきた。うわお。ドギマギしつつ、展示をみる。わたしこの人の写真なんかすごく好きなんだよなぁ。何気ないかんじなんだけど、なんか惹かれる。で、もちろん音楽も流れてるわけで、とても素敵な空間だった。

R0016783会場限定の CD を買った。いや、今日現金使う予定なくて、家出るときまあでもいちおう、と千円札2枚をウェストバッグに突っ込んできたんだけど、2枚にしといてよかったわー。ちゃっかりサインをいただき、さらにちゃっかり写真など撮ってもらった。ああ、超絶人見知りなのがなんとも悲しいことよ。うまいことお話できなかったけど、気さくでとてもステキな方であった。

もっとゆっくりしたいのは山々だったけど、なるべく早くに帰ってきたかったのでおいとまする。で、やりましたよね。駐車場でUターンしそこなって、立ちゴケ。しかもこれギャラリーから丸見えたったようで、青木さん出てきて引き起こすの手伝ってくれた・・・。わたしゃ AOKI takamasa に引き起こし手伝わせたバイク乗り、としてこれから生きていきます。。ハイ。ああ、恥ずかしや。

ギャラリーから2分ほどで中央道・長坂IC。まだ昼前とあって快調に飛ばし、ホントはほうとう食べたかったんだけど、お金と時間節約のため持参したおにぎりを談合坂SAで頬張ってお昼終了。当初の思惑よりもかなり早く高井戸ICをおりる。

で、その足で小岩の河川敷へ。ツーリング帰りで練習とか、さすが根性だけが取り柄のぷちともさんですよね。今日も元気にブン回してやった。

総走行距離:388.9km(小岩含まず)[Map]
写真:GRD3 8/94, iPhone 0/16 [Flickr]

野沢温泉ツーリング [後編]

10/30(日)野沢温泉 – 志賀草津 – 東京 315.8km [Map]

日曜日は天気がイマイチ、という予報ではあったので覚悟はしていたものの、曇りベースでそこまで降られないんじゃないかと楽観していた。朝起きて外を見ると、どんより曇り空。まあ、大丈夫大丈夫。

IMG_2153朝食の前に温泉に入ろうかとおもったんだけど、朝市があるというので慌てて着替えて外に出る。冬場はやっていないらしく、この日が今年最後だという。朝の温泉街はたくさんの人で賑わっており、野沢菜漬や温泉まんじゅう、信州りんごのジャムやら野菜やら、魅力的なものがいっぱい。野菜とかホント積んで帰りたい。試食も多く出てて、あれこれ食べちゃった。お土産に野沢菜漬を買った。

宿に戻り朝食を済ませると、あとは流れ解散。特に解散のあいさつ等もなく、さっさと帰る人あり、のんびりしている人ありでフリーダム。カッパを着こみ(雨だから着るんじゃない、寒いから着るのだ)、9時頃宿を出発。

帰りのルートは奥志賀林道・志賀草津道路と決めていた。奥志賀林道は前日に走ってきたメンバーから「路肩に雪があった」とか「朝は凍ってるかもしれないからやめといたほうがいい」なんて話も聞いたけど、「大丈夫でしょ」という人もいるので、まあ大丈夫のほうを信じることにする。林道の入口のところでちょうど出てくるバイクがいたので、大丈夫だね、ということで突撃。

R0016635パラパラ降ってきた雨が、だんだん本降りになってくる。気温も低く、寒い。全長 60km を超えるこの林道、道の雰囲気もすごく好きだし、存分に楽しめるはずなんだけど、こうも容赦なく雨が降っているとさすがに堪える。志賀高原がやたらと遠く感じた。

やっとの思いで R292 志賀草津道路に出る。ここで上信越道に向かってしまうという選択肢もないではないが、それはわたしが許さない。そのまま草津方面へ。

R0016641渋峠あたりでは、気温 4℃ の表示を見た。ほぼ冬装備だけどとにかく寒い。濡れたグローブ(しかも穴あいてる)の中で手が凍る。降りしきる雨の中カメラを出す気にもならず、横手山でやっと 1枚撮ったのみ。奥志賀林道も志賀草津道路も天気がよければすごく気持ちいい道なのに、今日はまるで苦行のようだ。ああ、晴れた日に走りたい。

苦行はなおも続く。R145 から R406 へ入るのだが、この分岐に青看板が出ておらずまったくわからないのだ。以前も R406 に入ろうとして通りすぎて川湯温泉あたりまで行ってしまったんだけど、今回も全く同じ事をした。Uターンして R406 に入る。道をつなげている最中なのか、あちこち工事中でブツブツ切れて迂回させられる。ようやくまともな道になり、r33 地蔵峠を経由して、どうにか上信越道・松井田妙義IC にたどり着く。時刻は 14時をとうに回っていた。

P1030551上里SA まで行って、給油。このあたりまでくると雨は止んでいたものの、これから降り始めるかんじ。もう早く帰りたいし、渋滞がのびても嫌なのでお昼ごはんは軽くサクッと済ませる。わたしは所用で実家に寄ることにしていたので、三芳PA で解散。実家でしばし休憩し、雨が強まらないうちに家に帰る。雨と寒さで体力を消耗したのか、ひどく疲れていたので21時には寝てしまった。

というわけで、2日目はなかなかの苦行であったわけだけど、それもまた思い出。何にしろ、とても楽しい旅であった。そしてあんだけ鬼のように食べたのに、体重はそこまで増えていなくて安堵。苦行の成果、ということにしておく。それにしても最近雨中走行が多い。次はよく晴れた青空の下を走りたいと切に願う。

総走行距離:656.7km [Map]
写真:GRD3 16/208, iPhone 2/18 [Flickr]
野沢温泉ツーリング [前編]

野沢温泉ツーリング [前編]

愉快な仲間たちが定宿にしている野沢温泉の宿(3月にスキーでも行った)に行くツーリング。参加者総勢21名、バイク20台。よって、いくつかのグループに分かれて目的地野沢温泉を目指すことになる。ルートは3つ提示されたのだが、ひとつは高速多めで物足りない(高速嫌い)、ひとつは女子供はすっこんでろなので参戦不可、ひとつは奥志賀・志賀草津は帰りのルートにしようとおもってるので避けたい。うーむ、こりゃチームぷちとも結成するしかないなぁ。

てなわけで、地図を眺めてわたしが食べたいものを食べるルートを勝手に決定。言っとくけど、しっぽりなんかこれっぽっちもしてないんでそこんとこよろしく。チームぷちともナメんなよ。デコボコ団の呼称を賜り、粛々と当日の朝を迎える。

10/29(土)東京 – 奥利根 – 越後湯沢 – 野沢温泉 340.9km [Map]

7:20 関越道・嵐山PA 集合。例によって前日に実家入りしていたため、余裕の 6:30 出発。予定通り 7:10 に到着すると、集まり始めたメンバーたちは朝食をとるなどしていた。最初で最後の集合写真などを撮り、予定より20分ほど遅れて 7:50 頃嵐山を出発。他のチームが上信越道で長野方面へ向かうのをよそに、我々はそのまま関越を走り、沼田IC でおりる。

r64 で片品へ向かう。途中、すこし道を逸れて宇条田峠というところを通ると R120 へのショートカットになるんだけど、ものすごく細い道なのでこりゃ~見落とすだろうなぁ~とおもっていたが、前を行く CBR がまるで知った道を行くかのように見事な先導をしてくれた。褒めてつかわそう。しかしその次の R401 から r63 へ入る分岐は通り過ぎた。褒めてつかわさない。

R0016448すぐに気づいてUターンし、r63 に入る。奥利根ゆけむり街道という名前がついているとおり、道すがら温泉地が多い。渓流沿いを走る道は気持ちよく、照葉峡は関東の奥入瀬とも呼ばれるそうで、紅葉もとてもきれい。ついついバイクをとめて撮りたくなる。大人数だとこれができないから少人数で動きたかったのだ。

R0016480いちおうダムでも押さえとくか。てことで、奈良俣ダムに寄ってみる。日本最大級のロックフィルダムだとか。なんかピラミッドみたい。r63 はこちら側は車は少なかったが、対向車線には尾瀬に向かうらしき車が多かった。あちこちで工事をしていて、やたらと片側交互通行が多かった。

そのまま r63 を走り、水上に出る。ここでわたしが食べたいもの第1弾。小荒井製菓で妙ちくりんを、である。小荒井製菓といえば生どらなわけだけど、わたくしの愛してやまない伊勢崎の妙ちくりんと提携しているらしく、ちょっと種類は少なめだけどここでも妙ちくりんが買えるのだ。というわけでお昼はもうちょっと先まで行ってからなので、ここでおやつタイム。妙ちくりんと、生どらも半分こして食べた。妙ちくりんは言わずもがな、どら焼きもフワッフワでおいしかった。

小腹を満たし、再び走る。r270 で猿ヶ京へ抜けて R17 に出る。三国峠を越えて、目指すは越後湯沢である。

R0016494ここでわたしが食べたいもの第2弾。中野屋でへぎそばを、である。いつもスキーの時にすごい混雑で食べられなくて、スキーシーズンを外して食べに行こうとおもっていたのだ。お店に到着したのは13時頃。店の前には10人ほどの行列ができていたけど、せっかくなので並ぶ。20分ほど待って店内へ。中へぎそばと、夜ごはんが大量なことがわかっているので迷ったけど、やっぱり舞茸の天ぷらも外せない。へぎそばも舞茸もウマし!

R0016533見慣れた越後湯沢の街を通りぬけ、湯沢の基地を素通りして R353 へ。R117 に入ると退屈な道がしばらく続き、途中の道の駅で休憩しつつ、r502 で野沢温泉へ。先の地震でできたらしきヒビがあったり、舗装をはがして工事していたりという箇所が多く、ちょっと走りにくい。だけどちょうど日が傾いてくる時間で、山の上から野沢の街を見下ろしての夕日は素晴らしかった。

なんだかんだで宿に着いたのは16時半過ぎ。既に到着している2チーム10台に続いてバイクを停めるべく、ゴソゴソやっているところへ最後のチームも到着。そして各々の部屋へ散っていく。夕食の前にとりあえず温泉。外湯めぐりをしたいとこだけど、あまり時間がないのでとりあえず宿の内湯でひとっ風呂浴びる。

R0016551で、宴。あいかわらず凄まじい量の食事である。お造り舟盛り、天ぷら、カニ、餃子鍋、うなぎ蒲焼、ポークステーキ、などなど、って、もはや過食レベル。さらに手作りケーキまで登場して、満腹をはるかに超越している。でも不思議なもので、2次会という名の部屋飲みでも気づいたら飲むだけじゃなくてつまみ食べてるんだよね・・・。胃袋恐るべし。ていうか、ヤバし。

IMG_2150過食ヤバしなので、温泉街へ散歩に出る。悪あがきというか、無駄な抵抗というか、気休めというか、なんというか。でもまあ夜の温泉街もまたよい雰囲気であった。宿を出てからお風呂の用意をしてくるべきだったことに気づいたが、時既に遅し。外湯めぐりはまたの機会に。

野沢温泉ツーリング [後編]

青森旅行記

9月30日(金)

東京駅八重洲口から出ている高速バスに乗り込み、青森を目指す。21:30 に東京駅を出発したバスは、途中盛岡や八戸に止まる。盛岡で7割方降り、八戸でほとんど降り、三沢まで行くのはわたし1人であった。

10月1日(土)

朝9時、三沢駅到着。予想はしていたけど、駅の周りは何もない。だけど駅舎はとてもきれい。時間がありすぎるほどあるので、十和田へは歩いて向かう。15km ほどなので、まあ3時間もあれば着くだろう。

R0016272果てしなく続く1本道。r10 をひたすら行く。周りには畑や田圃が広がり、空は広い。空気は冷たいけれど、よく晴れて日差しがなかなか強い。日焼け対策をまったくしてこなかったことを悔やむ。

r10 と並行して十和田観光電鉄が走っている。北里大学前、、あ、高校の時の友達が「キャンパス青森なんだよ・・・」と言っていたっけ。ここか。このあたりからだいぶ車も増え人もちらほら。街らしくなってくる。

そして十和田駅。うらぶれた駅舎には、ちょこちょこ人がいる。薄暗いのは節電のためか、もともとなのか、判断不能。ちょうどお昼時なのでごはんを食べようかともおもったが、駅の周りよりももうちょっと行って繁華街(というか商店街?w)っぽくなっているところのほうが店がありそうだと判断し、さらに歩くことにする。

IMG_1956そうこうしているうちに、第一にして唯一の目的であるところの十和田市現代美術館に到着。ではもう先に見てしまおうか。おもったよりも小さい美術館。でも造りは面白い。館内撮影禁止だったのであまり撮ることもできなかったけど、常設展をゆっくり見て回った。

さて、いいかげんおなかがすいた。さっきから歩いていると、やけに「十和田バラ焼き」という幟を目にする。牛肉や豚肉を玉ねぎと一緒に甘辛いたれで炒めたもので、十和田の庶民のソウルフード(ってなんなのw)だそう。せっかくなので適当なお店に入っていただくことにする。

バラ焼きショップ ふじの入ったのはバラ焼きショップふじのというお店。最初バラ焼き定食でもいただこうかとおもったんだけど、丼ものがやけに安いのでこちらに惹かれる(笑)。牛より豚のほうが好きなので豚肉のバラ焼き丼。おみそ汁もついてお値段なんと ¥350- 安っ!! そんでもってすごく美味しかった。量も多すぎずちょうどいいかんじ。すさまじい満足感だ。さすが庶民の味。

お腹を満たしたら、ふたたび街をウロウロ。かなり寒い。公園を歩いてみたり、新渡戸記念館をチラ見してみたり。いいかげんヒマなので、いったんホテルにチェックインする。すごい安宿なんだけど、とてもきれい。ベッドに横になりちょっと昼寝。気づけば2時間ほど眠りこけていた。

目が覚めるともう夕方、薄暗くなってきている。ここでわたくしの大好きな、地元スーパーチェックに出かけることにする。旅先で地元のスーパーを眺めるのがすごい好きなのだ。東京じゃちょっとお目にかかれない食材に出会ったり、激安だったり、見てるだけでちょう楽しい。スーパーでかなりの時間をつぶせるのだ。

今回おじゃましたのはヤマヨ十和田店、そしてユニバース十和田店。ヤマヨのほうが古いっぽいかんじ。鮮魚コーナーの充実っぷりがすさまじく、ちいさな魚市場がスーパーの中にできちゃいました的雰囲気。すぎょイ。そして安い。ユニバースのほうは、新しいかんじ。チョコモナカジャンボが88円! ウチの近所にもほしいぜ・・・。わたし的にはヤマヨに軍配。ちょっと食べてみたかったザクリッチを買って、ホテルに戻る。朝のパンが残っていたのでそれを食べて、ザクリッチをデザートに食べて晩ごはん終了。いいのいいの、お金ないしw 昼間のバラ焼きおいしかったし。

持ってきていた文庫本を読んだり、テレビを見るともなく見たり、風呂入ったり、友人と電話したりしているうちに青森の夜は更ける。

10月2日(日)

R0016313ツーリングと違って、朝はゆっくり起床。今日もいい天気だ。ホテルの朝食バイキングをたらふくいただいて、部屋に戻る。そして二度寝(笑)。こんなこと普段の旅ではありえないけど、時間がありあまっているのでできてしまう。たまには悪くないかな。

10時、チェックアウトギリギリの時間にチェックアウト。そして出発。もう十和田市内も昨日歩きつくした感があるので、とりあえずバスの出る三沢に行ってしまおうか。例によって、歩いて。とその前に、まずスーパーに寄る。昨日見て心惹かれた鮭弁当、焼き鮭と唐揚げときのこの炊き込みごはんと漬物とゴボウの煮物、これだけついて ¥250- ですよ奥さん。今回食費はおもいっきり切り詰めるつもりではいたけど、まさかここまで抑えられるとはおもわなんだ。しかもウマい。素晴らしい。とにかくこのお弁当を買って、十和田駅で少々お土産などを買い、三沢に向かって歩く。

朝はものすごくよく晴れていたのに、途中怪しい雲が背後から追ってくる。パラパラと弱い雨を降らせたりしているが、雨脚は強くなるでもなく、折りたたみ傘をさしてみたり、しまってみたり。そしてまた3時間ほど歩いて三沢駅に着くとじきに雨がザーッと本降りになる。ああ、早く着いていてよかった。夕方には止む予報なので、駅でしばらく時間をつぶす。

お腹がすいてきたので、さっき買った鮭弁当を食べる。ウマし!! もう、ホント今回食べ物が安くてウマくて最高であった。ちゃんと地元の食べ物だしね(笑)。そしてじきに雨も止んできた。でも、バスの時間までまだあと5時間以上ある・・・。ああ、帰りは八戸からにすればよかったなあ、などと思うも、時既に遅し。

というわけで、ヒマつぶしにまた歩く。とはいえ何があるでもないので、とりあえず市街地へ向かうことにする。商店街らしきものはことごとくシャッターが下りているが、これは日曜日だからなのか、なんなのか。歩いていると、外人さんとすれ違う。意外におもっていたら、そうだ三沢は米軍基地があるのだ。基地の周りはやっぱりちょっと雰囲気が変わる。Yナンバーの車多し。

米軍基地の横を通り過ぎ、三沢空港に行ってみることにする。きっと小さな空港だろうけど、田舎の小さな空港の雰囲気ってなんか好きなんだよね。ちょっと郷愁感漂うというか。ヒコーキヒコーキ! と胸躍らせ、空港に到着。

R0016330ちょうど日が傾いてきて光のぐあいがいいかんじ。閑散とした小さな空港だけど、デッキに出るには有料。そしてなんか人がいない。ので、デッキには出られなかった・・・。ショボーン。飛行機の発着もあまりないみたい。ショボーン・・・。

まあそういうわけで、日が暮れてきたので三沢空港を後にして、再び駅に向かいつつ街中を歩く。日が暮れると寒さはよけいに身にしみる。真冬に着るようなモコモコの上着を着ているけど、それでも寒い。昼間の日差しの下では「これはさすがに暑かったかな」とかおもってたんだけど。

ちんたら歩きつつ、またまたスーパーに寄って(ユニバース松園町店)バスの中で食べる食料を調達し、駅に戻ってくる。待合室は暖房がきいていて温かいので、ここでしばしバスを待つ。もうちょっとだ。

20時5分前きっかりにバスは現れる。乗客はわたしともう1人のみ。そして出発。八戸でまた10数名を乗せ、東北道で東京へ。帰りは盛岡は寄らないようだ。途中の岩手山SA で車外に出たけど、恐ろしく寒かった。佐野SA まで戻ってくるとそうでもなくて、ああやはり東北は寒いなぁとおもうなどした。

10月3日(月)

7:55 に東京駅到着予定である。しかし、(東京駅から歩く気でいるので)定時到着だと実は微妙に会社に間に合わない。おそらく20分ほど早めに着くだろうと予想していたので、まあ大丈夫だろうとおもっていた。佐野SA を出発したのは 5:30 。6時過ぎに首都高に入る。しかし朝の通勤時間帯になろうかという首都高、さすがに詰まり始める。気にしてもしょうがないのはわかっているけど、どうしても iPhone で渋滞情報やら地図やらチェックしてしまう。

しかし見事に 7時過ぎに新宿駅到着。これなら東京駅には 7:30 くらいに着けるだろう。おもったとおり、ちょうど 7:30 にバスを降りる。あとはひたすら歩くのみ。

8時過ぎ、無事に帰宅。玄関の外に置いておいたネコのエサ皿は、きれいに空になっていた。そして荷物を置いて作業着に着替え、何食わぬ顔ですぐに出社する。週末に青森なんて行ってませんよ、とばかりに。

米沢・福島ツーリング [後編]

9月24日(土)米沢 – 東京 421.8km [Map]

R0016156朝起きて窓の外を見ると、気持ちのいい晴天だ。この空を待っていたのだ。昨日の土砂降りはいったい何だったのか。でもまあどちらかといえば走り的メインは今日なのでよしとしよう。もう少し惰眠を貪っていたい欲求をぐっと抑えてベッドから這い出す。簡単に朝食を済ませ、予定通り7時過ぎにホテルを出発。

米沢を出て、R13 をひた走り福島方面へ。地元ナンバーの四輪たちはやけにペースが速い。広域農道に入り、看板を見落としたのか少々道に迷いつつ、磐梯吾妻スカイラインへ。ここからは景色がステキだったりグネグネの峠道だったりなので、浄土平のパーキングで落ち合うことにして各々自由行動とする。

R0016203高湯側はタイトなコーナーが続く。まだそんなに車は多くない。バイクはけっこういる。そして突如開けるあの景色。去年来ているにも関わらず、どうしてもバイクを停めて写真を撮りたくなってしまう。火山ガスが出ているので、停車禁止の区間もあるのだけど。

ひとしきり写真を撮って遊んで、浄土平のパーキングへ。ここも通常は有料なんだけど無料開放されている。吾妻小富士へ登れるようになっていて、去年はスルーしたんだどせっかくなので登ってみることにした。

R001622510分ほどで登頂。山頂はカルデラになっていて、その周囲を一周できるんだけど、さすがにそれを歩くと時間がかかりそうなのでやめておく。ここは風が強く、とにかくすさまじく寒かった。バイクの格好で登っているのにちっとも身体が温まらない。耳が凍りそうだった。

プチ登山を終えて再び走る。前半は撮りまくったので、後半はひたすら走る。

R0016234つづいてこんどは磐梯吾妻レークライン。去年は走らなかった道だ。ここはわりとゆるやかなコーナーが多く、周りのバイクたちのペースも速め。途中展望台に立ち寄り湖を望む。その名も「三湖パラダイス」。

最後は磐梯山ゴールドライン。ここも1,2箇所の展望台に立ち寄りひたすら駆け抜ける。3本つづけると全長 60km ほどになるのかな、けっこうお腹いっぱいである。これら3つの有料道路、本来ならば全部で 2310円(二輪)かかるのだ。うーん、ブルジョワ。これが無料ってんだからありがたい。

IMG_1913さて、会津若松にほど近い猪苗代湖のほとりまでやってきた。なんだかんだでもうお昼近くなっているし、少々お腹も空いてきているのでこのへんでお昼にしてしまおう。なんか蕎麦が食べたかったので、通りすがりに見つけた蕎麦屋にサッと入る。かき揚げ天そばをいただいた。かき揚げウマし。

R0016250右手に猪苗代湖を望みながら R49 を行く。前に来たのは3年前だったか。前回は猪苗代湖の周り西半分を走ったので、今回は東半分を走りたかったのだ。というわけで r9 に入って湖南を目指す。県道を逸れて湖のほとりへ。猪苗代湖から磐梯山を望む。

そして R294 で白河へ向かい、そのまま白河中央IC から東北道へ。給油のために立ち寄った那須高原SA で福島銘菓ままどおる発見。どうもできたてのようで、まだあたたかかった。あたたかいままどおるをお土産に買って積み、バラ売りされていた御用邸の月(まあアレだ、萩の月のパチモン)をおやつに食べた。

東北道は順調で、途中少し事故渋滞があったものの大したこともなくやり過ごし、蓮田SA へ戻ってくる。この那須高原から蓮田は、大した距離でもないのになんだか時間がかかったし、異様に疲れた。でもまあ蓮田までくればあともう一息。さすがに疲れていたので、普段は乗らない関東屈指のブルジョワロード・首都高速道路にのっておうちへワープ。右手前方に見えていた東京スカイツリーが、くるっとまわって左手にくるのがなんか楽しかった。首都高は滅多に乗らないけど、のったらのったで東京空中散歩気分ですごく楽しい。そして無事に帰宅。

R0016172とういわけで、福島のブルジョワロードを行く旅は無事に終了。現在この道路が無料開放されているのは、おそらく福島=原発で観光客が激減してるからなんだろう。紅葉の時期にはまだ早いけど、それにしたって去年よりだいぶ少なかった。まあ、走る方にしてみればありがたいことではあるけれど。行く先々で「がんばろう東北」という文句を見るにつけ、なんだかなぁという気分になりつつ、友人でも被災地へボランティアに行ったりする人もいたりすることを思う。わたしはちょっとそこまでするにはいろんな余裕がないけれど、せめてこうやって旅に出て東北にお金を落とすくらいはできるかな。って、ブルジョワロード無料だったんだけどさw まあ、自分の生活をちゃんと営むことがこの国のためになるんだと信じて、わたしはこれからも普通に生きていこうとおもう。景気がよくなることを祈りながら。

総走行距離:783.4km [Map]
写真:GRD 23/153, D80 0/22, iPhone 2/19 (GF1 1)

米沢・福島ツーリング [前編]

米沢・福島ツーリング [前編]

9月23日(金)東京 – 米沢 361.6km [Map]

わたくし的ブルジョワロードの代表格である磐梯吾妻スカイライン、去年走ってたいへん気に入ってしまったわけだけど、如何せんブルジョワ。すなわち通行料が高い。その磐梯吾妻スカイライン、そして磐梯吾妻レークライン・磐梯山ゴールドラインの3つの福島県の観光有料道路が無料開放中と聞いて黙っていられるはずもなく、今年も米沢・福島ツーリング を敢行することにした。

P10208166時蓮田SA集合、と言いはじめてからどれだけ経っただろう。今年、夏に行こうとしていた奥只見や奥日光を含め、ここ数ヶ月のツーリングの予定はことごとく天気に恵まれず延期に次ぐ延期。今回ようやく蓮田集合が実現した。晴れの予報であったが、雲が多く肌寒い。これから北へ向かうが、大丈夫だろうか。

蓮田を出発してじきに、雨が落ちてくる。すぐに止むだろうとおもったのになかなか止まない。なんてことだ。雨を避けて延期してきたというのに。しかたなく佐野SAに入りカッパを着る。いや、雨だから着るんじゃない。寒いから着るのだ。

R0016117西那須野塩原IC で東北道を下りて、那須高原を駆け抜ける。寒い。先日の台風で土砂崩れが起きたりしていたらしく、路面はところどころ砂が浮いている。大きな泥水の水たまりがあって、バイクはドロドロになってしまった。途中、殺生石という史跡にふらりと立ち寄る。遠目で見てお花畑かとおもったピンク色は、お地蔵さんの群衆であった。

那須高原を抜けて R289 に入り、 R181 で北上する。会津若松ではお祭りがあるらしく、少々渋滞にハマる。さらに北上して喜多方へ。

P1020851きたかたにきた。お目当ては、喜多方ラーメン。会津若松で渋滞にハマるなどしたので、市街地へは行かずに国道沿いのお店で済ませることにする。あっさりスープに縮れ麺、とろとろのチャーシューが美味であった。ラーメンて久しぶりに食べたなぁ。ウマカッタ。

お昼を食べている間に雨が降った。お店を出る時はちょうど止み間だったけど、いつ降ってきてもおかしくない空だ。ともかく、本日の目的地・米沢を目指す。

R0016138R459 に入り、r54 で檜原湖のほとりを駆け抜ける。途中、トンネルを抜けたら、そこは雨だった。さきほどまでのようなにわか雨的な雨ではなく、本格的なジャジャ降りである。なんだよもう、晴れるんじゃなかったのかよ・・・。さっき泥まみれになったバイクは、雨で少々洗われるかたちになった。

去年も走った西吾妻スカイバレー、楽しい道だけど、このジャジャ降りではとても走りを楽しめる状況ではない。フロントタイヤの溝が減ってきてることもあり、かなりのビビリ運転とあいなった。とりあえずコケなくてよかった・・・。
山をおりると、雨は止んでいた。米沢の市街地は雨の降った形跡もない。山の中だけだったのかな。ともあれ、ホテルに着く頃にはカッパも乾いてくれた。

雨に濡れて芯から冷えてしまった身体をあたためるべく、とりあえずフロ。今回泊まったホテルにはプライベートバスというのがあって、貸し切りでお風呂に入れるのだ。最近はビジネスホテルでも大浴場があったりするけど、それよりもいいサービスかも。かなり気に入った。

IMG_1900しばし休憩した後、米沢牛を求めて街へ繰り出す。とりあえず駅の方へ向かってみたが、なかなか閑散としている。いくつかお店をのぞいてみたりしつつ、焼き肉のものすごくいいにおいに惹かれて米沢牛の焼き肉屋さんへ。

地元の人が集まる店っぽいかんじで、決しておしゃれでもこぎれいなかんじでもないけど、お店の人もかんじがよくて、なにしろ安い、そしてウマい。お肉、トロけます。たいへんおいしい米沢牛をたらふく食べて、雨に大いにヤラレたことなどふきとんでしまった。ああ、シアワセ。

ホテルへ戻る途中、またしても雨がぱらつく。最後まで雨にやられた1日であった。

米沢・福島ツーリング [後編]

川越ランデヴー

先日のレイ・ハラカミとユザーンのライブで聞いた「川越ランデヴー」は、川越にあるごぼう屋のことを歌った楽曲である。エッセイのような語り口で、きんぴらに特化した牛蒡専門店とその店主のおじいさんとの何気ないやりとりが、ハラカミの音とユザーンのタブラのリズムにのせて描かれる。このごぼう屋が、なんと実在するというではないか。コリャ行かねばなるまい。本日のちんまり隊は、この「斉藤牛蒡店」を訪れ、ゴボウを買い、きんぴらを作って食べようではないか、の旅である。

東武東上線川越市駅に集合し、まずは小江戸と呼ばれる川越をお散歩。蔵造りの古い街並みは、たくさんの人で賑わっている。人もすごく多いしわりと車が頻繁に通るのでなかなかじっくり写真を撮るというかんじでもなく、目についたお店をのぞきつつぶらぶら歩く。

R0014655「まちかん」という刃物屋さんに入る。店内ではご主人と思しき男性や若い青年が包丁を研いでいる。砥石について質問すると、とても丁寧にこたえてくれた。石にはロマンがあるのだ。わかるなぁ。そして、その研いだ包丁の切れ味を試させてもらえることに。

R0014640これが、すんごい体験であった。わたしが普段家で使っている包丁はなんなんでしょうか、ていう。試し切りに用意された大根に刃をあて、スッと引く。その感触たるや、今まで味わったことのない、なんともいえないものなのだ。スッ。恍惚。切り方というのは大事なもので、スッと引いて切った切り口と、トン、と上から押すように切った切り口ではその触った感触がまるでちがうのだ。滑らかな切り口に、おもわず声を上げてしまう。すごい。7つもの工程を経て研がれた包丁そのものも、端正で美しい。いやもう、なんだか深い感動を味わった。刃物スゴい。

さらにぶらぶら。ちょっと路地を入ったところに、なんとも魅力的な縁側があるではないか。見れば無料休憩所とあって、そこに座る人々はかなり寛いでいる。よし、われらちんまり隊も休憩させていただこう。

F3000806寄り添うように生えたたけのこに大いに食いつき撮りまくる。さらに庭の奥にいくと、ニャンコが数匹いるではないか。和服を着た家主らしき男性にネコたちの説明を聞くなどし、のんびり眠るニャンコを撮りまくった。とてもかわいいニャンコたちであった。

菓子屋横町でちょこっと買い食いをし、ちいさなカフェちっくなところで喉を潤し、いよいよ本日の目的地である斉藤牛蒡店へ。しかし、ふと不安がよぎる。お店は不定休。今日は日曜日、観光客相手のお店ともおもえないし、もしかしたら休みかもしれない・・・。

R0014841しかしそれは杞憂であった。路地を曲がったその場所に、朱い幟がはためくのが見えた時、ふたりはおもわず歓声をあげた。「きんぴら」と書かれた幟と、おなじく暖簾。曲中で描かれるように、店頭にはショーケースが4つ並んでいる。ちんまり隊はその前で記念撮影をし、200円のきんぴら用の切ごぼうとにんじんのセットを手に取り店内へ。

R0014866店内はこぢんまりとしており、奥のほうには YouTube で見た映像とおなじ作業場の光景。そして、優しい物腰のおじいさんが現れる。代金を払うと、お店の隅にハラカミとユザーンの載った雑誌が置いてあることに気付く。おじいさんにファンなのですか? と問われ、そうだと答えると、どこから来たの? 遠くからありがとう、と、ごぼう茶をオマケしてくれた。しばし会話しつつ、一緒に記念撮影させていただく。とても優しくて素敵なおじいさんであった。ちんまり隊がお店にいる間、普通に地元の人がごぼうやきんぴらを買いに来ていた。斉藤牛蒡店は、まさにきんぴらに特化したごぼう専門店であった。いつまでもそこに佇んでいてほしいものだ。

ふたたび歩き、珈琲店でお茶をし、そして(実家に)帰宅。川越ランデヴーの主人公がそうしたように、わたしも母上に「これできんぴら作って」とお願いする。曲中では母親に「あんたこんな皮剥いて切ってあるごぼうなんか買ってきてどうするの。香りも何もかも飛んじゃってるわよきっと。だいたい今うちにごぼういっぱいあるのよ。自分できんぴらでもなんでも勝手に作りなさい」と叱られていたが、我が母はべつに叱りはしないだろうとおもっていた。しかし、真空パックされた切ごぼうを差し出すと、「何これ、だめだよこんなの」と言う。やはりこういう加工されたものには抵抗があるのだろうか。気持ちはわからんでもないのだが、「まあそう言わずに、おねがい」と頼み、とにかく作ってもらった。

そして夕食の食卓に上ったきんぴら。たいへんおいしゅうございました。
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