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NODA・MAP 番外公演「THE BEE」

20070801こないだの土曜日にシアタートラムで観てきた舞台。NODA・MAP 番外公演「THE BEE」ロンドンバージョン。

妻と息子を人質にとられた平凡なサラリーマン・イドは、その犯人オゴロの妻と息子を人質にとり、立てこもる。常に普通であるように生きていたイドが、妻子を人質に取られた普通の被害者を演じられず、ある瞬間から被害者から残虐な加害者へと姿を変え、報復の連鎖へと落ちて行く。

とりあえず、今までみた(といってもふたつだけだけど)芝居とは全然ちがう。なんてゆーか、わたしが「演劇」と聞いてイメージする舞台にいちばん近かった気がするな。なんとなく。いろいろな場面で芝居だからできること、っていうのをすごく感じた。物のつかいかたとか、場面や役の入れ替わりとか。男女が逆の役を演じているのもおもしろい。野田秀樹がオゴロの妻の役なんだけど、出てきたとき笑いが起こってた(笑)。でもそれが違和感なくなっていくし、逆にそのほうが刺激的だったり。

そういえばわたしが過去に見たふたつは音楽をまったく使わない舞台だったので、演劇での音楽のつかわれかたをはじめて観た。曲そのものがすんごい強烈だったののもあり、とても印象的。 だってハチャトウリアンの剣の舞にヘンな歌詞つけた曲なんだもん(笑)。調べてみると、オバ歌謡 というのらしい。ラストのところで蝶々夫人の曲もつかわれてて、それもすごく印象的だったな。オゴロの妻を犯し、子供の指を切る。美しい音楽に乗せて無言で繰り返される凄惨な情景が、きわめて日常的な生活の中に組み込まれてなんだか麻痺してくる。そんな中に象徴的に現れる蜂。ブーンという羽音だけ、っていうのがまた恐怖を煽る。

なんかまとまんないけど・・・とにかくこれ日本バージョンもみたかったなあ。とてもおもしろい(という表現が合ってるかは微妙だけど)舞台だった。野田秀樹の作品、また観てみたいな。

原作が筒井康隆「毟りあい」。読んでみよ。
傾いた世界 ― 自選ドタバタ傑作集〈2〉