中学1年だか2年だか忘れてしまったけど、とにかく中学生のときに国語の先生が、「君たちが中学生であるうちにぜひ読んでほしい」と言ったのが、ヘッセの『車輪の下』だった。わたしは言われるまま、文庫本を買ってきて読んだ。
「生きる技術は名作に学べ」の冒頭、著者はこう書いている。
おそらく、こうした小説を読むことができる機会は、18歳までのあいだに限定されているのだと、わたしは気づきました。もし、18歳までにこれらの小説を読まなければ、その機会はほぼ永遠に失われてしまうのだと。あの、クラスにひとりだけいた読書熱心な子ども、彼らだけが、名作を集中して読むことのできる限定されたタイミングをみごとにとらえ、その読書経験からたくさんの滋養をひきだし、たくわえたのです。
なるほどそうかもしれない。現に、わたし自身(もちろん読書熱心な子供ではなく、そんな子供を遠くから眺めている側のその他大勢だった)、この本に取り上げられている10作のうち、半分は高校生までに読んでいる。だけどもう半分は、タイトルや作者やあらすじは知ってるけど、じっさいに読んだことがない。このままいくと、なんとなく手に取る機会を得ないまま過ぎていっていたとおもう、たぶん。
そんな名作たちを、改めて読んでみたいとおもった。未読の作品はもちろん、昔読んだのも。アンネがそんなウザい女だったなんて、子供の頃ピアノの先生の家にあった『アンネの日記』をレッスンの合間に読んでた当時、ぜんぜん気づいてなかったもの(笑)。たとえ結末を知っていても、読後の感動が薄れることのないような名作たちだ。いま読んだら、きっとまた違った読書経験となるだろう。
こうして積読本がどんどん増えていくのであった。合掌。