弟に激しく薦められて読んだ第2弾。百田尚樹「永遠の0」。
今のこの時期に読んだのはちょうどよかったのかもしれない。戦時中の航空隊の生き様を描きながら、その背景にある当時の日本の軍隊の体質が見える。それが現在の日本の政治にもつながって、自衛隊やマスコミ、ひいては日本人の在り方についても考えさせられる。
わたしは太平洋戦争について、世界史の授業でやる程度の知識しか持ちあわせていなかった。具体的にどんな戦いをするのか、いかに兵士の命を軽んじた作戦がとられていたのか、また戦争が進んでいく中で変わっていく戦況といった戦争の仔細を、物語を追いながら知っていく。そのなかで最前線で戦う戦闘機乗りの生き様や心情がよく伝わってきて、なんともいえない気持ちになった。戦争を日常として生きるってこういうことなのかと。特攻隊に限らず、あの時代に生きていた人たちひとりひとりがいろんなものを抱えて生きて、また死んでいったことを改めて考えさせられた。
加えて本作は、零戦はどうすごかったのかとか、戦闘機の空戦のシーンなんかもダイナミックに描かれていて、そういう面白さもある。ただ、現代の人物たちにまつわるとってつけたようなエピソードはまったくもっていらないとおもった。