夜と霧の隅で 積んであったものの中から一冊、北杜夫「夜と霧の隅で」。ナチス政権下のドイツで、不治の精神病患者に対して安死術を実施するという指令が下る。そんな中、患者を救うために苦悩する精神科医たちを描く。 ナチスの指令に抵抗し、あらゆる治療を試みる。たとえそれが無意味になろうとも。それは医師としての使命感なのか。極限状況下における人間の心の不安が、その文章とあいまってずしりと重く感じられた。