面白すぎる日記たち

面白すぎる日記たち―逆説的日本語読本)鴨下信一「面白すぎる日記たち」。近代以降の日本人をメインに、幅広い時代のいろいろな人物の日記をチラ見していく。落ちぶれてグチってばかりいる古川ロッパ、体温と借金を必ず書く石川啄木、病床に臥せているわりにやけにグルメな正岡子規、引き取った姉妹に対して悶々としている心情から夫婦喧嘩から何から全部細かく記述する徳富蘆花、徹底的に自分が直接関与することだけを書く岡本綺堂、簡潔きわまりない記述の小津安二郎、等々。こんなにもいろんなスタイルの日記があるのかと大変面白く読んだ。A級戦犯二被告の日記の読み比べはかなり興味深い。あと藤原定家の天候に関する語彙の豊かさには感服した。

1999年刊行なのでブログには触れられていないんだけど、数年前は「ウェブ上の日記」とされていたブログも、SNS だとか twitter だとかいろんなウェブサービスが出てくる流れと一緒に、その位置づけみたいなものがずいぶん変わってきた。わたしもこのブログと10年日記と毎日つけている日記野郎だけど、自分の日記のスタイルというものをなんだかちょっと考えたりした。

では最後に小津安二郎風に今日の日記を書いてみよう。

五月二十六日(水)
レンズ来る 友人にメール 雨降る

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