手紙

手紙犯罪加害者の家族の話ということでどこかで見かけて積んであった、東野圭吾「手紙」。強盗殺人罪で服役中の兄を持つ弟が、自分は何もしていないのに犯罪者の弟というだけで社会の中で理不尽な差別を受け続ける。その兄から、獄中から毎月手紙が届く。

作中に登場する人物たちはものすごく嫌なやつだとか悪人だとかはいなくて、みんなごく普通の人だ。だけど、だからこそ、当たり障りない程度の距離をおく。その境遇には同情はするけれど、犯罪加害者の家族にあえて深く関わろうとしないというのは、当然といえば当然なのかもしれない。勤め先の社長の「差別は当然」という言葉が突き刺さる。冷たいようだけど、でもこれってすごく現実的だよなぁとおもった。

差別はね、当然なんだよ。犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、しごくまっとうな行為なんだ。我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる―すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。

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