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ドガ展

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横浜美術館で開催中のドガ展を観てきた。国内では21年ぶりとなる回顧展らしい。

まずは自画像から。ドガ、なんか、ショパンに似てね・・・? 気のせいかな(笑)。ドガの祖父の肖像がよかった。光とタッチがやわらかくてきれいなんだけど、厳格だったというじいさんの雰囲気がすごくよく表れてて。ソファの肘掛けにかけた手がいい。手フェチ的にたまらん手だ。いい手だ。チェロ奏者の肖像は、前景のチェロケース越しの横顔というちょっと変わった構図が印象的。

そしてドガといえばこれでしょう、踊り子。エトワールは初来日だそうだ。ふわふわしたチュチュの描写はすごく繊細できれい。ライトをあびて、ちょっと幻想的。舞台袖の怪しげな男が不思議な雰囲気を醸し出していた。エトワールの他にも、稽古の様子とか控え室の様子を描いた作品がたくさん。バレエってほんとにきれいで、ドガが描きたがるのよくわかるなぁっておもった。ところで控室の踊り子たち、寝かせたコントラバスに足かけてバレエシューズの紐結ぶのはどうかと(笑)。でもこのコンバス、男性の気配を感じさせるモチーフとして描かれているらしいんだけど、それはナニかい、ドSってことかい?w

ドガは早くから写真にも興味をもち、発売されて間もない小型カメラで写真を撮影し、絵画の制作の参考にしたそうだ。絵画のためのものとはいえ、どれもすごく雰囲気があって印象的な写真。身体を拭く裸婦の写真なんかは、女性の身体と布地のやわらかな線と、ダークな背景のコントラストがすごいよかった。

彫刻は踊る人の活き活きしたかんじがよくでていた。スパニッシュダンスかっこいい。アトリエに残されていたパレットなんかも展示されていた。胸が熱くなるな。

APEC 騒ぎですごいことになっている横浜だったけど、美術館そのものはおもったほど混雑もしておらず、ほどほどなかんじでよかった。会期は12/31まで。

陰影礼賛

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国立新美術館で開催中の陰影礼賛展に行ってきた。「かげ」をテーマに、絵画や写真、インスタレーションなど、幅広い時代と分野の作品を集めた展示。

展示を見始めてまず、陰影がテーマっていったって、絵画や写真において陰影のないものなんかないんじゃないかい、とかちょっとおもったんだけど、たしかに陰影が印象的なものが集められていた。なんとなく、写真作品のほうが絵画よりもより「陰影」を感じるものが多かったようにおもう。たぶん、絵画だと作家の意図でいくらでも制御できるからなのかなぁ、とかおもったり。写真だと、そこにある影をどう写し込むかになってくるから、より際立つのかな、とか。特に今回のようなテーマに沿って集められた作品ならなおさらに。モノクロ写真が多かったってのもあるかもしれないけど。写真のところの説明文に「写真のなかに写り込んでいるすべての事象のなかで、影や陰こそが、過去に存在していたという感覚をもっとも強く生じさせるものかもしれません。」との一節があって、たしかにそのとおりかもとおもった。

普通の展覧会にくらべて作品の幅がすごい広いのでおもしろかった。ところどころで平山郁夫、東山魁夷、徳岡神泉、横山大観といった日本画の大家の作品に不意打ちをくらったり、杉本博司やアンディ・ウォーホルとかも突如あったりして、ちょっと嬉しい。高松次郎という人の「影」という作品は、まさに「影」そのものを描いた作品で、あれ? これほんものの影? みたいなかんじでおもしろかった。

1Fの展示室ではゴッホ展がやっていたりして人がごった返していたけど、こちらは空いていてゆっくり楽しめた。

DESIGN ふたつの時代

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招待券をいただいて、今日ちょうど銀座で用事があったので、ミキモトホールで開催されている DESIGN ふたつの時代 [60s vs 00s] に行ってきた。テーマは「戦後日本のデザインはどのように成立し、どこへと向かうのか?」だそうで、日本デザイン史の成長期・変革期に相当する1960年代・2000年代に絞って再考するというもの。ティスプレイ、グラフィック、クラフト、インテリア、インダストリアル、ジュエリー、パッケージ、サインといった各分野のデザインが60年代と00年代で対比するかたちで見られる。車なんかは60年代と本当に変わってるけど、キッコーマンのしょうゆの瓶なんか、1961年にデザインされたものがそのまんま現役だったりするからすごい。展示の数もっと多くてもいいのに、とおもったけど、場所的にしかたないのかな。

シャガール展

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藝大美術館で開催中のシャガール展に行ってきた。ポンピドゥー・センターが所蔵する作品を集めている。シャガールってフランスのイメージ強いけど、ロシア生まれのユダヤ人なんだね。ロシア美術史と関連づけた展示になってる。

シャガールっつーとまぁ、アレだわな、動物お空飛んじゃってる系だわな。なんだけど、初期のほうなんかはゴーギャンみたいなタッチの風景画があったり、ゴッホみたいな室内の風景があったりでおもしろい。同時代の作家の作品もあって、カンディンスキーの一連の作品がよかったなぁ。あとプーニーの「コンポジション」シリーズ。ああいうの好き。立体のやつがおもしろかった。

個人的にいちばんテンション上がったのが、オペラ「魔笛」の舞台美術。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のこけら落としの公演、これの舞台美術をシャガールが手がけていたのね。この舞台衣装や舞台の背景画なんかのスケッチが展示されてるんだけど、かなり見応えたっぷり。すごいおもしろい。てかこんなスケッチからよく衣装作れるなみたいな(笑)。いやでもホントすごい。じっさいの舞台の写真が展示されてるんだけど、もうね、スゴすぎてわけわかんない(笑)。夜の女王が、パパゲーノが、パミーナが、背景から衣装から何から何までシャガールなのよ。スゴすぎて笑えるもの。あーおもしろかった。

世界報道写真展

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今日は所用で目黒へ。ちょっと時間をつぶす必要があったので、写美に足を伸ばして会期が明日までに迫った 世界報道写真展 2010 を観て来た。

会場入ってすぐに、目を背けたくなるような凄惨な光景がつづく。スポーツとか自然をテーマにしてる写真なんかはところどころホッとするものもあったけど、報道写真という性質上ものものあるだろうけど、どうしても世の中の負の部分がクローズアップされる。おなじ地球上で起こっていることを目の当たりにして、だけど自分がどうすることもできないから、ただただ撃たれる心配なく生活できる幸せを思わずにいられなかった。ああわたし日本でよかった、って、それで済ませられるものではないんだけど。写真のもつ伝える力みたいなものも強く感じた。

民家の天井に砲弾で穴があいて、そこから光の差し込むリビングの写真が不思議と美しくて、すごく印象に残った。

マネとモダン・パリ

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三菱一号館美術館で開催中のマネとモダン・パリ展に行ってきた。

4月にオープンした三菱一号館美術館は、1894年に建設された三菱一号館を復元して同じ地に建てられた建物。古い洋風なつくりが素敵なたてものだった。美術館としてはひとつひとつの部屋がすこし手狭なかんじもしたけど、雰囲気はとてもいい。

展示は、とりあえずベルト・モリゾの肖像は素敵だった。黒がとても深くてきれい。あとドガのでオペラ座のバレエの稽古の風景の作品がちょっとお気に入り。チュチュのふわふわした質感の描写をじっさいに見られるのがうれしい。ニャンコシリーズもかわいかった。「日本趣味」というくくりになっていて、まあ印象派のジャポニズムなんだけど、あれ日本なのか・・・よくわからん。でもゾラの肖像画の背景にある浮世絵と屏風はまさにジャポニズムで、なんだかうれしくなる。ニヤリ。

おもしろいのが、「死せる闘牛士」。これはもともとはもっと大きな絵画の一部だったんだけど、サロンであからさまなスペイン趣味やらおかしな遠近法だとかをひどく批判されて、マネが自分で半分に切断したらしい。熱いねえ。その上部は「闘牛のエピソード」として NY フリック・コレクションに所蔵されてるんだとか。

あとは図面もの。あれは図面なのか? 図面・・・ていうかなんかスゴい。あの緻密さ。いまわたし CAD で図面引いてるけど、あれを手書きで・・・ウヒー。昔手で図面引くとき、「線は細く、鋭く!」って言われたもんだよーって会社の人が言ってたけど、まさにそんな線。髪の毛よりも細く、鋭い線。いやぁ、参りました。お気に入りは「1855年万国博覧会の産業館(横断面図)」。心の fav★ ボタン、押しました。

さて今日1日 iPhone もって外出して、いやぁ楽しいねぇ。丸の内から歩いて家帰ったんだけど、しょっちゅう歩いてる道なのに無駄に地図みてみたりしてね(笑)。うーん、これは知らない土地にいきたいぞ。あーあーツーリングいきたいなぁ。明日も微妙な天気だなぁ。梅雨とかはやく終わればいいのに。

会田誠+天明屋尚+山口晃

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昨日の夕方アップルストアで iPhone を受け取った後、本来ならばくもとも協定満了の祝杯をあげるはずだったのだがそれができず、なんだかそのまま家に帰るのもさみしくて、ひとり銀座をウロウロしていた。それでふと思い出し、高橋コレクション日比谷で開催中の「会田誠+天明屋尚+山口晃」展に行ってきた。

会田誠「ジューサーミキサー」は、数年前に上野の森美術館でも見たんだけど、会場のせいなのかな、より迫力だった。まあエログロなんだけど、会田誠曰く「中学生の頃から抱いていたイメージ」だそうで、ああでもなんか中学生の頃ってそーゆうの考えたりするかも、って、なんか妙に納得した。だからフェミニストから苦情がきても答えられないそうですw ウケるw この人の作品て、それがそれだけに受け付けない人もいるとはおもうんだけど、作者の意図を理解するヒントになるテキストも一緒にくれたので、いろいろ考えつつじっくり見ることができて楽しかった。

天明屋尚はまたちょっと趣が違うんだけど、この 3人という組み合わせは絶妙なバランスかと。「漢字紅葉図具羅富異帝杉戸絵 大和魂一匹狼」「漢字燕子花図具羅富異帝杉戸絵 一撃必殺特攻隊」はテキストをデザインした襖絵。なかなかかっこいい。しかも琳派風(笑)。木の質感もいいかんじ。ウルトラマンの模様が刺青で表現されてる刺青マンとかおもしろかった。

山口晃の描く世界はやはり楽しい。そしてあの描写力にはホント脱帽。これは実物を見てこそだよねぇ。前に見たときはそこまで気に留めなかったんだけど、今みるとあの上半身が馬で下半身がバイクになってる乗り物が・・・なんかすごく目を引いてですね・・・まじまじと見てしまった。それが朽ち果てて、馬の部分が化石になってたりして横たわってるの見るとなんか切なくなったり(笑)。やけに馬バイクに感情移入しながらあの世界を見たw

広めのギャラリーに、客はなんとわたしひとり。なんて贅沢! ギャラリーだからそこまで点数は多くなくてもっと観たいっておもうけど、これで 300円は素敵。これくらいの価格設定なら気軽に見られていいなとおもった。

建築はどこにあるの?

ここ数日のわたしは、遠足にワクテカして眠れない小学生そのものであった。しかしながら週末の天気予報は芳しくなく、結局今日予定されていた遠足は延期となってしまった。モロモロ小道具まで用意して楽しみにしていたというのに非常に残念ではあるが、やはり遠足は天気のいい日に行きたいもの。「中止」ではなく「延期」であるので、ぜひ晴れた空の下で楽しい遠足を執り行いたいところである。

そこで今日は、わたしが見に行こうと思っていた企画展に付き合わせるかたちで東京国立近代美術館。「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」展である。この特設サイトからして凝ってておもしろいんだけど、展示もまたすごくおもしろかった。ある程度の条件のもと写真撮影が可になっていて、flickr に公式グループがあったりして投稿できるようになってる。もともとひとりで行くつもりだったんだけど、友達と一緒にいって本当によかった。こーゆうインスタレーションてあーだこーだ言いながら、今回は写真撮れることもあってそのほうが何倍も楽しめるかんじ。特に盛り上がったのは赤いところ。内藤廣さんという方の作品。レーザーの中に入れるようになっていて、布にシマシマが映ったりしてハシャぐ。すごく暗いので写真も難しいんだけど、かなりおもしろかった。今日はなかったんだけど、ダンスパフォーマンスとかもあるみたい。伊東豊雄さんのはいかにも彼っぽいかんじ。忘れていた「建築はどこにあるの?」というテーマを思い出す。その答えを写真に収めて・・・とパンフに書いてあったことに、会場を出てから気づいたのであった(笑)。うーむ、建築はどこにあったのだろうか・・・。建築云々忘れててもすごく楽しめる展示だった。欲を言えばもっとたくさん見たかったかなというかんじ。でもたっぷり楽しんだ。

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内藤廣「赤縞」
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伊東豊雄「うちのうちのうち」



所蔵作品展と「いみありげなしみ」という展示も見て、その後はぶらぶら歩きながら神保町に移動。しかしながら本屋さんなどは日曜日休みでグダグダな展開になりつつ、素敵な喫茶店でおいしいコーヒー飲んでまったりして、遠足は行けなかったけどたいへん楽しい1日であった。

で、今日もたいやきを食べました。
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オンナノコ展

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あみちゃん怒濤の写真展3連チャンのラストを飾る、原宿・デザインフェスタギャラリーで開催中のオンナノコ展におじゃましてきた。写真ありイラストあり。3人それぞれの世界がおもしろくて、見応えのある展示。あみちゃんのモノクロよかった。暗室での手焼きだそうです。あーわたしもまた暗室やりたいな。あみちゃんの写真はちょいと個人的にいろいろ思い入れのある展示ともなっております(笑)。うーん、いいなぁ。ホントもういつでも死ねるなぁ。あみちゃんありがと。

デザインフェスタギャラリーってはじめて行ったけど、おもしろいところだね。今日は時間ギリギリになっちゃったんだけど、もう少し時間があったらほかの部屋の展示とかも見てみたかった。また表参道とか行くようなときは寄ってみようっと。

つーわけで、オンナノコ展もこの日曜日までです。某カッパとあわせて、週末のレジャーにぜひこれひとつ。

長谷川等伯展

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気づけばこの週末までだった。1ヶ月が過ぎるのがあまりにも早い。あわてて東京国立博物館へ。長谷川等伯 没後400年特別展である。

まずは仏画。等伯は、初期は現在の石川県七尾市で専ら仏画を描いていたのだ。行ったよなぁ七尾美術館。「三十番神図」がおもしろかった。パッと見なんだかお雛様みたい。すごい精緻で、オペラグラス持ってる人いたけど、それ正解だわ。

上洛して一転する。花鳥画なんかの屏風とかが出てきだす。「山水図襖」は、桐花紋のパターンの中に浮かぶ山水図が美しい。そしてこれぞ等伯という金碧画。「楓図壁貼付」や「松に秋草図屏風」といった国宝が並ぶ。「波濤図」カッコイイし「萩芒図屏風」もすごくきれい。それから「柳橋水車図屏風」がヤバい。波の曲線と柳の曲線がもう何とも言えない。この展示室はかなり濃密な空間。なかなか人がはけなくて大変だった・・・。

後半戦。また仏画。ここはなんといっても「仏涅槃図」。デカい。デカいってのは、それだけでスゴいってことである。いやほんと。これなんか、東京国立博物館の高い天井からぶら下げても床に引きずっちゃって、どうしよこれどうやって展示すんの? こうするしかなくね? みたいなかんじでもういやはやスゴい。

そして水墨画。等伯の描く竹がすごい。筆の動きと掠れでみごとに表現されていて感心しっぱなし。竹の節がまたいいんですわ。あぁああ。「竹鶴図屏風」の竹林は、霧に溶け込んだ描写が幻想的で美しい。吸い込まれそう。それから「竹林猿猴図屏風」のお猿さんもふもふ!! 「檜原図屏風」の雰囲気も好き。

ラストの極めつけが国宝「松林図屏風」。うん、これは最後まで人がはけなくてほんとにもう・・・。解釈は諸説あるらしいけど、わたしにはなんか亡霊が立ち尽くしてるように見えた。とにかくそんな、幽玄な美しさ。

とまぁざっと書いたけど、「史上最大にして最上の大回顧展」と謳うとおり、見応えたっぷりの展覧会。混雑もすごかったので結局 3周して、1500円分きっちり堪能しましたみたいなかんじ。はぁ。ごちそうさまでした。