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真相

真相 (双葉文庫)横山秀夫はクラマーズ・ハイ以来だなぁとおもいつつ手にとる。短編集なんだけど、ひとつひとつがおそろしく読み応えのある作品。救いがなくて読んでて辛いけど・・・。

特に秀逸なのが「ホール18番」。精神的に追いつめられた人間の心理描写は、息が詰まるほどの緊迫感だった。表題作「真相」は、ちょっと、別の意味でも辛い。あぁぁあ、、

でもこーゆう人間の心の闇を描いた作品、好きなんだよなー。病んでんのかなーw

きいろいゾウ

特に書くこともないのでたまには読んだ本でも。カテゴリもいちおうあることだしねw
きいろいゾウ
田舎の日常の描写がいい。出てくる人々が優しくて魅力的。すごくいいなーっておもうんだけど、ところどころでちくりちくりと私の胸を刺す。なんだかすごく悲しくなる。後半の展開はなんか疲れた。

ムコさんとツマさんがもってる思い出にはぜったいに追いつけない

豊饒の海 第三巻「暁の寺」

前半:
仏教の本…???輪廻転生の突き詰めた話をしてる。ムズカシイ。フェードアウトしつつある世界史の知識を総動員しても追っ付きません。。。自分の不勉強にちょっと鬱入る。でも情景描写読んでるとタイとかインドとか行きたくなる。

後半:
ひたすら陰鬱な世界。なんか面白いんだか面白くないんだかわからないんだけどでもその文章に引き込まれていくようなかんじ。最後のとこで前半の描写と直結して収束していくのがすごい。

この物語が最後の「天人五衰」でどのように結ばれるのか。楽しみなんだけど、ちょっと怖いような気もする。

豊饒の海 第二巻「奔馬」

奔馬を読みました。あああ。脳みそを劈く言の葉の刃。てかんじ。なんかもううまく文章にできないので箇条書きでいきます。

  • 三島さんの研ぎ澄まされた文章たまりませぬ
  • 随所に見られる輪廻転生の描写が実にエキサイティング
  • 勲の熱情と物語全体の疾走感はまさに「奔馬」
  • 最後の一文に至る流れはもう、もう言葉にならん
  • ぅぅうううあああぁぁぁぁああああああーーーっっってかんじ

純粋は美しいけれど、それを全うするのは不可能だ。人間ってそういうもんでしょう。私は、美しくなくても穢れてても、それら全部ひっくるめて包容できるような大きさをもった人間でありたい、と思った。

しばらく豊饒の海から離れられそうもないや。この人の文章に浸りたい。暁の寺行きます。

豊饒の海 第一巻「春の雪」

Bonne nuit!とか言いましたがこれだけは今日書いときたい。三島由紀夫 豊饒の海 第一巻「春の雪」、読み終えました。パリ往復のヒコーキの中で。イッキに読みましたよ、もう。こないだピアノの先生と初版本で盛り上がって三島トークしてくれた時、「読んでないの!?あんた学生時代何やってたの!」とのお叱りを受けましたが、ほんと、その通りです。すいません。仮にも文学部の学生だろうがと。ああ。

三島由紀夫。なんて美しい文章を書くのだろう。「潮騒」を読んだときも美しい、と思ったが、それとはまた違う美しさ。沈鬱な雰囲気、憂いを帯びているが故の美しさとでも言えばいいのか。以前に超音速氏が彼の文章を関数と表現していたのが記憶に残っているが、関数、その表現まさにそれ。全てが計算し尽くされたかのような文体。でも関数でありながら、そこから紡ぎ出される言葉は音楽のように響いてくる。私はひたすらその美しい音楽に酔っている、そんな感覚。「春の雪というにはあまりに淡くて~」のくだりで一気に涙が溢れて、最後の20ページくらいは涙流しながら読んだ。泣ける、とかじゃなくて、涙が出てくる。そんなかんじ。いや、泣けるっちゃ泣ける。確かに泣ける、悲しい恋ですよ。でもそうじゃない。涙が出る。三島の描き出す人の哀しさに、そして美しさに心揺さぶられて涙が出る。とにかく、こんな読後感久しぶり。最後の1ページを読み終えた後、しばし放心。お空の上で。あとはぼーっと窓から空を眺めていました。

しかしまあ、これを映画化しようって、チャレンジャーですね。こんなん映像化できるのだろうか?この文章を?まあ、別物として楽しむしかないでしょうね。そらそうだよね。文学への冒瀆にならないようにスバラシイ作品作ってください。たのんます。

おフランスな本

パリに行く前に読んでおきたい本がふたつばかりあり、それらをようやく読み終えた。

エッフェル塔試論まず松浦寿輝「エッフェル塔試論」。こちらはまいどおなじみ超音速氏にオススメされて思わずamazonポチっとなしてしまったもの。超音速さんもおっしゃってます通り、超絶ムズイ。ええ、そりゃもう。なんかもう、ちまちま読んでたら読むのに一ヶ月近くかかった…orz一気にガーーーッと読みたいところだが、そうはいかない。辞書なしで読めん。知恵蔵と辞書傍らに、すっごい頭使いながらじっくり読み進めました。ぼーっと読んでると頭に内容が入って来ない。腐りかけた頭に素晴らしい刺激。

そんなムズカシイ書物(「書物」という表現がぴったりだ!)ですが、がんばって読んでみるとこれ、内容がとてつもなく興味深い。建築の専門家かと思いきや、フランス文学のセンセイでいらっしゃる。文体がまたよい。最初読み始めるのに尻込みして、なぜか跋を先に読んだのですが、この跋だけでもえらく感動してしまった。これまじでパリ行く前に読んでよかった。そしてこれを読んだ後にパリ行って実際のエッフェル塔を見ることができる、それに上ることができる、これ、とても幸せなことです。これ読んでから行くのと読まないでいくのとじゃ、エッフェル塔の感動全然違う。エッフェル塔の見方、体験の仕方が全然違ってくる。断言できる。素晴らしい書物をありがとう。

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉あともうひとつ。ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」。言わずと知れたベストセラー小説。私ミステリーてあんまり読まなかったけどちょいと気になりつつも、でもなんかやたらと雑誌とか帯とかで煽ってるのでなんとなく気乗りしなくて、でもなんかパリ行くよって言ったらいろんな人にこれ読んでから行けって言われたのでハードカバー上下2冊まとめて買ってきて、こちらは上の30倍くらいの速さでイッキに読んでやった。めっちゃおもしろかった。

象徴学とか図像解釈学とか美術史とかキリスト教とかの知識が得られます。ものすごく興味深い。思わず世界史の資料集引っ張りだしてきて参照しつつ読んでしまった。さらに、前述の「エッフェル塔試論」で得た知識やらエッフェル塔そのものがちらっと出てきたりしてにやけてみたり。

でも象徴学とか図像解釈学とか美術史とかキリスト教とかの知識のある人ならもっと楽しめるんじゃないかと思いきや、amazonのレビュー読んでみるとそうでもないようですねw でも私は普通に楽しめました。私の周りのみんなが薦めてくれたとおり、パリ行く前に読んでよかった。楽しみがまたひとつ、いや五つくらい増えました:-)
こちらは映画化も決定しておりルーヴル美術館での撮影も5月だっけ?始まるそうですが、この作品は映画化されるために書かれたようなもんなんじゃなかろうか。とか思ってみたり。だってこの小説自体が映画っぽいんだもん。これは映画化楽しみです。是非見たいです。