月別アーカイブ: 2010年10月

マーラー祭り

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台風一過の晴天とはいかず、つくりかけのスカイツリーの先端は雲の中に消え入るように見えた。錦糸町まで歩き、すみだトリフォニーホールで演奏会。最近マーラーが多いな、とおもったら、生誕150年だそうだ。

交響曲第1番「巨人」は、初め「交響詩」として構想され、交響曲となったのは1896年の改訂による。今回マーラーが何度か改訂したものの第2稿、1893年の改訂版が演奏されるそうで、日本では4回目だとか。ちょうど同じ頃に作曲されている「さすらう若人の歌」とこの「巨人」と、ちょっと変わったマーラーのプログラム。

演奏はまぁ、アマオケだし、みたいなアレでナニなわけだけど、第3楽章の後にチューニング入ったのはびっくりした。よくあることなんだろうか。最終的には削除された第2楽章ブルーミネ、いわゆる「花の章」はたぶん初めて?聴いたけど、その名前の印象よりも渋い雰囲気だった。きれいな曲だとおもうど。これだけ単独で演奏されることもよくあるみたい。

最後の物たちの国で

最後の物たちの国で新刊が出たばかりのオースターだが、わたくし文庫化を待つ人なので旧作の未読のものに手を出す。で、立て続けに3作品読んでしまった。その中でいちばんよかったのがこれかな、「最後の物たちの国で」。オースターの作品はいつもアメリカの空気をすごく感じるけど、これはどちらかというと欧州っぽいイメージを抱いた。今までいくつか読んできた彼の作品の中でもちょっと異色なかんじ。

行方不明の兄を捜して主人公アンナが乗り込んだ国は、極度の貧困によって盗みや殺人が犯罪ですらなくなっているような国だった。未来のディストピアというよりは、むしろ現在においてどこかで起こっていることに近いのかもしれない。極貧と絶望に支配された終末の街で、極限状態の中で生き抜いていく人々。絶望の中にあって、アンナはとてもたくましく、生命力に満ちて魅力的だ。それでも破滅に向かう悪夢みたいな物語のラストに、救いがあるのかはわからない。だけど読後感は悪いものではなくて、それは根底に希望があるからなのかなぁ、とおもった。

広角万歳

今回レンズを 50mm/F1.8, 85mm/F1.8, 10-20mm/F4-5.6 の3本体制という気合の装備で東北に乗り込んだわけだけど、いやダメだわw いくら明るいレンズが正義といっても単焦点はレンズ交換めんどくさすぎる。無理。場所とるし。ツーリングにはズーム必須、まあ普通に考えりゃ当たり前の話だわな。

しかし 10mm ちょう久しぶりに持ち出したけど、やっぱ楽しいなー。デカくて重くてほとんど出番なくなってて、売っ払おうかとも考えたりしたけど、やめた。広角万歳。超広角を活かせる場所に行きたいなぁ。どこ行こう?
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福島・米沢ツーリング [後編]

10/24(日)米沢 – 東京 348.4km [Map]

朝5時起床。外を見ると、まだ天気は大丈夫そうだ。出かける準備を整えて、ふたたび外を見やるとすごい朝焼け。慌てて荷物をまとめてチェックアウトし、ホテル横は川の土手になっているのでそこへ上がってみるも、もうだいぶ色が落ち着いてしまった。朝焼けは雨の兆し。今日はサクサク進もうと心に決め、6時にホテル出発。

DSC_8622r2 西吾妻スカイバレーで白布峠へと南下する。ここも紅葉が見事だ。朝早いので車もおらず、たいへん快適に走ることができた。でも、またしても写欲がフツフツと湧き上がり、サクサク進むはずがどうも遅々として進まない。写真はどこかの展望台からの眺望。

DSC_8647そのまま r2 で桧原湖のほとりを走る。なかなか雰囲気よさそうなので、適当なパーキングにバイクを停めて少し散歩することにした。

裏磐梯には湖沼がたくさんあって、探勝路も整備されている。中瀬沼から磐梯山を望む。朝っぱらから三脚バズーカのオジサンが数人いた。この辺りは標高も低いのか、紅葉は色づきはじめでこれからといったかんじ。冬とか雪が降ったらまたきれいだろうなぁ。

R459 に出て、磐梯山ゴールドライン。ここはもう止まらないぞ、と心に決めてサクサク進む。R49 に出ればもう会津若松だ。途中、2年前に福島に来たときにも見た観音像が視界に入ってきてニヤリ。今回は会津は完全スルーで、R118 でそのまま南下する。

DSC_8684会津から少し走ってやってきたのは塔のへつり。少し前に友人が行っていたのを見て行きたいとこリスト入りしていた。着いてみると、意外とメジャーっぽい(?)観光地でちょっとびっくり。河食地形の特異例として国の天然記念物に指定されているそうで、侵食と風化で形成された不思議な断崖がおもしろい。

R289 に出て進路を東に取る。そのまま行けば白河ICだが、まだ高速にはのらない。r290 に入って那須高原へ向かう。この那須の道もたいへん気持ちいいワインディング、那須湯本温泉の中心部まで来ると車が増えたけど楽しかった。温泉街もいい雰囲気で寄りたかったけど、またの機会にすることにしてお目当てのとある旅館へ。

R0010260ちょっと迷いつつもなんとかたどりついた國弘やしき。なんでここに来たかったかって、まあ、わかる人にはわかる話。外観が意外としょぼかったけど、テニスコートがあったり、チラッと見た感じ離れとかはリッパぽかった。日帰り入浴でもできればなぁとおもったけど、いずれちゃんと泊まりに来るからよしとする。

ちょうど昼なのでここらでごはんを食べよう。那須高原の中心部、道沿いには何やら美味しそうなお店が立ち並ぶ。たいへん心ひかれるけれど、道の駅でサクッと済ませることにする。ところがレストランは人が溢れ、40分待ちとの案内。うーん残念。もう高速にのってどこか SA で食べればいっか。

那須ICから東北道。わりと車多めだったけどまだ渋滞もなく順調。佐野SAに寄ろうかともおもったけど、いいや、蓮田まで行ってしまえ。

R001026614時前に蓮田SA到着。フードコートをぐるりとまわるも、これ!っていうものがなくて、結局ミニメンチ丼というソースカツ丼のメンチバージョンみたいなのにした。本来は蕎麦とかとセットで頼むみたいなんだけど単品で。このミニ丼がたいへんちょうどよくて腹八分、なんかその味よりも絶妙な量にやけに満足した。いやふつうにおいしかったけど。

浦和ICで下りて、15時過ぎに無事帰宅。こけたとき土に埋まったのでホネたん泥だらけ。掃除したりオイル差したりミラーのクルクルを直したりと作業していると、じきに雨が降ってきた。早めに家に着いていてよかった。

というわけで、突発的遠出終了。走った道はどれもとても楽しくて、食べたごはんはおいしくて、ああもうちょっと近ければ通うのに!といったかんじ。大型連休フルに使って遠出するのも楽しいけど、土日で1泊ってのも適度でいいな。これから本格的に冬モードに以降していくわけだけど、その前に秋を満喫できてよかった。

総走行距離:723.2km [Map]
写真:GRD 10/260, D80 15/365, iPhone 1/47 [Flickr]
福島・米沢ツーリング [前編]

福島・米沢ツーリング [前編]

10/23(土)東京 – 米沢 374.9km [Map]

ツーリングマップル東北を買ってしまった時点で、もう心は決まっていたのかもしれない。磐梯吾妻スカイラインを走りたい、というのはけっこう前からあったのだが、福島でも北の方なので日帰りするには少し遠い。泊まりになると宿代によってとたんに出費が跳ね上がるので躊躇していたのだが、もはや逸る気持ちを抑えることができない。どうせ泊まりになるなら、米沢で一泊すれば山形県を赤く染められる*1。今年は遠出は5月の福井だけだったし、天気もよさそう、やっぱり行きたい、うん、行こう。お金は、まあ、なんとかなるだろう。

所用で前日に実家入りしており、5時くらいに実家を出発。浦和ICまでは30分強くらいで着いた。東北道はやや交通量が多いものの渋滞するほどではないが、朝なのとスピードが出ていることもあって冬装備してきたけどけっこう寒い。東北だいじょうぶだろうか・・・。とかおもいつつ、7時過ぎに那須高原SA到着、休憩と軽く朝食。妹のパウンドケーキを頬張る(これのために実家帰ってたw)。ウマい。そして再び東北道、白河あたりから霧がすごくて、前が見えないほどではないにしてもシールドは水滴で濡れてしまう。ちょっとやだなぁとおもっていたけど、郡山を過ぎたあたりで晴れてくれたのでホッとした。二本松ICで高速を下りる。

DSC_8325二本松から R459 、r30 、そしてさっそく磐梯吾妻スカイライン。わたしはこの道をブルジョワ認定している。だって通行料すごい高いんだもの。それでもどうしても走ってみたかったのは、荒涼たる火山地帯の景観。寂寞とした雰囲気は秋にこそ、という勝手な思い込みでこの時期を待ったけど、紅葉の名所でもあるらしく、車も多い。そろそろ盛りは終わりにさしかかっているかんじだけど、見事な紅葉だった。ついついバイクを停めて写真を撮りたくなってしまう。おなじことしてる練馬ナンバーの FZ のオニーちゃんがいて何度も遭遇したw 天気がいいので気温も上がって、心配していた寒さはまったくなかった。

DSC_8350レストハウスなんかもある浄土平の駐車場。ここ、有料。おいおい、あんな高い通行料とっといてさらに駐車料金とるんかいな!ふざけんなスルー! とかおもったけど、遊歩道もあるみたいだし、せっかく来たし、しょうがないから止まってやった。火山のちょっと上の方までのぼってみたり。見晴らしはいい。

DSC_8406とにかく広いので歩き出したらキリがないので、散策を適当に切り上げて再び走る。そしてついにきたこの風景! 火山ガスだから止まるなって書いてあったけどもうだめ、わたし写欲 MAX 撮らずにいられません。あぁ、1150円(二輪)払ったかいがあったってもんよ。すんごい久しぶりに持ってきた 10mm の超広角レンズが火を噴く。たまらん。

さてたいへん満足したので下っていく。また紅葉の風景に戻っていく。スカイラインと謳うだけあって視界が開けるとあんまり眺めがよろしいもんで、また写真撮りたくなっちゃって停まろうとしたらなんか縁石に突っ込んでコケましたよね。停止しようとしてたからほぼ立ちゴケだけど、ぶっちゃけ軽く事故ですよね。幸い倒れた先が土だったのでバイクもわたしもほぼ損傷なく済んだんだけど、ハンドル埋まっちゃってなかなか起こせない。経験上たいていこういう時って誰かしら助けにきてくれるんだけど、誰もきてくれない。ひとりで悪戦苦闘しているとようやくライダーが助けにきてくれた。やはりこういう時はバイク乗り同士だねぇ。あれ、ていうかこの人さっきから何度も遭遇してた FZ の人じゃんw これは恋の予感か!? とおもったけど、べつに恋は芽生えませんでした。いつものことです。ハイ。

そんなこんなで磐梯吾妻スカイラインを後にする。わたしが出るとき、料金所手前の県道では大渋滞が発生していた。早めに着いて本当によかった。そして米沢に向かう。r70 からフルーツライン、そして R13 で米沢。

R0010043ちょうどお昼時にあって米沢。米沢といったらまずは米沢牛、これを食べなきゃ始まんない。というワケでいただく。貧乏なので安めな定食を、てことでステーキ重。こういうのってもしかしたら米沢牛じゃないかもしんないけどそこはあえて確認しない、米沢牛だとおもえば米沢牛なのだw たいへん美味しかった。あぁ、幸せ。

R0010053お腹を満たしたので、米沢市内をウロウロしましょう。まずは上杉神社。米沢城址の中にあって、上杉謙信を祀っている。奥の拝殿なんかはけっこう風情のある神社だった。「元気な赤ちゃんが生まれますように」みたいな絵馬がやけに目についたんだけど、ちょうどそこへ友人から妊娠報告のメールが。なんだこのシンクロはw

米沢は上杉家の城下町だったこともあって、武家屋敷なんかも残っているようだ。ちょっと探してみたんだけど、なんだかよくわからなくて結局あきらめた。

DSC_8480いったんホテルにチェックインして、バイクを置いて徒歩で市内をぶらぶらとおさんぽカメラ。JR米沢駅はかわいらしい駅舎だった。駅前には米沢牛のお店がいっぱい。日がだいぶ短くなっていて、すでに夕方の日差しになっている。川べりの長閑なかんじがなんか気に入った。

ぶらぶらしているうちにすっかり日が暮れてしまった。満月がすごく大きくてきれいだ。こういう地方都市ってのは夜が早いということを過去の経験から学んでいるので、ごはんを食べておきたい。

R0010174中心部から少し離れてしまっているんだけど、ラーメン屋があったので入る。細打ち縮れ麺とあっさりとした醤油味のスープ、これぞ正統派の米沢ラーメン。美味しかった。しかも安い(笑)。たいへん満足である。

ふたたび歩いてホテルに戻り、明日の作戦を立てる。天気予報を見ると、雨の予報が前倒しになって明日の遅い時間には降りだしてしまいそうだ。早めに出て早めに帰ろう。というわけで、風呂入ってとっとと寝る。

福島・米沢ツーリング [後編]

*1 経県マップのこと。本ツーリングを含む 2010年10月現在の経県値は177点

那須高原にて

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人間には、やらなければならないネタというものがある。(サルトル)
つーわけで、東京に帰る道すがらやってきたのはとある温泉旅館。
でも日帰り入浴は15時からなんだってさ。。。
いいよいいよ、ここはいずれちゃんと泊まりに来るから。

米沢にて

我慢できずに来てしまった東北。
もうね、あれだよね、米沢牛も食べたし、米沢ラーメンも食べたし、もういいよ、今月残りあと一週間もやし生活すればいいんだよ。
生きてける。 なんとか生きてけるよきっと。
東北よ今夜もありがとう。(謎)

ぱつきんアフロ

わたしはプレゼントを選ぶのが苦手だ。何をあげたらいいやらさっぱりわからないし、たとえ相手が欲しいって言ってたものでも「もう既に手に入れちゃってるかも」とか考えてしまうし、「悪いなぁ」とおもわせない程度の適度さでかつ喜ばれるものってすごく難しい。

しかし今回は我ながら天晴なプレゼントを贈ることができた。まあ、モロモロのタイミングがよかったというだけなんだけど、あれだけ喜んでもらえるとなんかこっちがありがとうと言いたくなってしまう。選ぶのは苦手だけど、やっぱり「何かしたい」っていう気持ちは大事だし、それがちゃんと伝わって喜んでもらえるってのは、たいへん嬉しいことだなと改めておもった。