読書」カテゴリーアーカイブ

日本美術応援団

日本美術応援団久しぶりに読書録でも。こないだバークコレクションにノックアウトされた勢いで購入した日本美術応援団。これすっごいおもしろいね。

なんだろね、美術品を見る時ってなんかこう、少なからず構えるというか、「すごい作品なんだ」ていう先入観からくるものなんだろうけどなんかそういうのがあるんです。でもそういう目線で見ると、偏った見方になってしまうとおもうのです。で、そういうのをブチ壊してくれる、そんな感じの本でした。や、なんか2人の美術好きのオジサンがゲタゲタ笑ったりバカにしたりヘンだとか俗物だとかあーだこーだやってるんだけど、実はその中でその作家の筆の運びから技巧、あるいはそのデザイン性や色彩、そしてその意図するところ、深いところまで読んでいってるんだよね。一見ふざけてるようにも見えるけど、美術への愛があればこそ。ああもうナマで見ないとね。

何にしても、紅白梅図屏風はもう「嬲」にしか見えません!

わらぐつの中の神様

Dogs in the bootsおばんです。ぷちともです。私のブーツには犬コロが住んでるとです。

で、ブーツの中の犬。ブーツの中の神様。いや、わらぐつの中の神様。小学校5年だか6年だかの国語の教科書に出てきた話。ふとそのタイトルだけ思い出したんだけど、どんな話だったけ??

はいそんな時にはGoogle先生。そこでトップにランクされているこちらのサイト。
「わらぐつの中の神様」に学ぶ恋愛テク

感動した。素晴らしい。いや、げたげた笑いながら読みましたが、実に素晴らしい恋愛テクニック論。

わらぐつは、品物というよりも、むしろ記号なのである。

いやはや、お勉強になりますた。わたくしもおみつさんを見習って精進したいとおもいます。

このサイトの他のも全部おもしろい。まだいっぱいあるからじっくり読ませていただこう。
本読みHP

ところでこのトップの右下でメイドが言ってる「ガルガンチュアとパンダグリュエル」がすげい気になるw とりあえず、本読みHPさまに敬意を表して読書カテゴリ。

最近読んだ本(含漫画)と日本の文化

活字離れしすぎなのでこのカテゴリ放置になってしまった…orz
ここ半月ぐらいで読んだ特集(含漫画)

ホムンクルス:友達とも同僚とも後輩ともつかない男に借りた。グロいがおもろい
獣の戯れ:最初時間軸がよくわからんかった
宴のあと:ちょうど衆院選の時に読んでた。 “宴のあと”って表現絶妙だなー
戦場のピアニストの原作:原作ではあのバラ1はノクターン7なのね
きみに読む物語:ああ恋がし(ry
コナコナチョウチョウ:この人の描く陰鬱な世界がすごく好きだ
阿修羅ガール:どう評価されてるのかわかんないけどこーゆうの好きじゃない…
疾走:ずしっとくるずしっと。ずずずずぅっと。そして虚脱感。ああ。

で、今オイラーの贈物読んでるんですが。数学は言葉である。うむ。あー読み終わるのすっごい先になりそうだががんばる。これだけ読んでると本読むペースががっくり落ちそうなので項羽と劉邦を同時進行。ああ本っていいね。いいねいいね。

あ、あとのだめ英語版(1巻だけだけど)を買ったのだ。ちょっと高いけど簡単なので辞書無しで全然読めてイイ。のだめの発する奇声とかも英語になっててウケル。巻末に日本語に関する注がついてておもしろい。

例えば千秋が晩ご飯のおかず考えてて「タイ…なんもめでたくないし」とか言ってて、そーゆうのって日本人じゃないとわかんないじゃんだから注で「日本人ってめでたいことあると鯛食べるんだぜ」って説明してる。「ヘイ!ヘイ!」ってのは日本語で「屁」が発音似てるからかけてるんだよとかスカトロってえのは “scatology” のJapanizationとか甲子園の土とか阪神とかヨネスケとかハリセンとかデパ地下とか。あとのだめのこと「めくそ」と言ってるのを説明した上でそのEnglish versionってことで “No-Dummy” って訳してるよおもしろいね。
次巻以降ジーク・ジオンとかこたつとかそでの下とかイケメンとかマングースとか紋付袴とかニコレットとか編集者のポエムとかSオケの叶姉妹とかショスタコー!タコー!とかスーパーひとしくんとか今日の料理とかどんな注がつくのか楽しみであったりもします。巻頭には「〜くん」「〜ちゃん」「先輩」「後輩」「先生」そして「ボーズ」の解説が。英語にはこういう表現ないもんね。

そういやNANAも何か国語にも翻訳されてて、そんで「ハチ」ってのは日本で犬によくつけられる名前なんだという説明がついてるとかなんとか言ってたな。

日本語って勉強する人きっと難しいだろうけけどおもしろいですね。そんでもって漫画ってすごいですね。(日本の文化)
20050919

豊饒の海 第三巻「暁の寺」

前半:
仏教の本…???輪廻転生の突き詰めた話をしてる。ムズカシイ。フェードアウトしつつある世界史の知識を総動員しても追っ付きません。。。自分の不勉強にちょっと鬱入る。でも情景描写読んでるとタイとかインドとか行きたくなる。

後半:
ひたすら陰鬱な世界。なんか面白いんだか面白くないんだかわからないんだけどでもその文章に引き込まれていくようなかんじ。最後のとこで前半の描写と直結して収束していくのがすごい。

この物語が最後の「天人五衰」でどのように結ばれるのか。楽しみなんだけど、ちょっと怖いような気もする。

豊饒の海 第二巻「奔馬」

奔馬を読みました。あああ。脳みそを劈く言の葉の刃。てかんじ。なんかもううまく文章にできないので箇条書きでいきます。

  • 三島さんの研ぎ澄まされた文章たまりませぬ
  • 随所に見られる輪廻転生の描写が実にエキサイティング
  • 勲の熱情と物語全体の疾走感はまさに「奔馬」
  • 最後の一文に至る流れはもう、もう言葉にならん
  • ぅぅうううあああぁぁぁぁああああああーーーっっってかんじ

純粋は美しいけれど、それを全うするのは不可能だ。人間ってそういうもんでしょう。私は、美しくなくても穢れてても、それら全部ひっくるめて包容できるような大きさをもった人間でありたい、と思った。

しばらく豊饒の海から離れられそうもないや。この人の文章に浸りたい。暁の寺行きます。

数学って美しい

はい。読みました「世にも美しい数学入門」藤原正彦/小川洋子。さっと読めてしまいました。でも改めて数学の「美しさ」ってものを感じることができました。

数学って、ほんと、哲学だなと思った。なんて美しいんでしょう。そして、自然とか芸術とかがそうするように、人に感動を与える。こういう「美しさ」をもっと昔から知ることができればもっと数学好きになれただろうなあ。

いや、嫌いだったわけじゃないんです。きれいな解が出てきた時の喜びは人生の快楽でしょう。でも苦手でした。数式見るとギクッとするし。。。

でもなんかこの本読んだら数式が美しいものに見えてきました。って「博士の愛した数式」読んだ時もそう思ったっけ、私。でもさらにこの本でそれを深められたと言うか。数学の美しさを藤原さんと小川さんがこれまた美しく表現するんですわ。文学と数学の通じるところも垣間見れるかんじ。

日々是椅子取りゲーム

なんか今日駅風呂重くないかい?気のせいかな。まあいいや、こんばんはぷちともです。

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)こちらの方のエントリ見て読みたいと思ってた本がこれ、「世にも美しい数学入門」。私小川洋子さんの「博士の愛した数式」、大好きなんですわ。この本に数学の「美しさ」ってものを教えてもらった。私数学って超絶苦手だったんですが。で、この本はその小川さんと数学者でエッセイストの藤原正彦さんの数学にまつわる対談だそうで、読みたいなーと思ったのでした。今日久しぶりに本屋の開いてる時間に本屋に行けたもんで。で、すんなり見つかりました。平積みってゆうかなんて言うんだ、平並べ?本棚にこう、背表紙をこっちに向けてるんじゃなくて表紙がこっちむいてるの。そうゆうふうに置いてあったのですぐ見つかりました。

通勤電車で座る技術!そしたらその本の隣に同じく平並べ?されてたのがこれ、「通勤電車で座る技術」。思わず手に取ってしまったw ぱらぱらっとめっくてみたんですが…ぷぷぷ。オモシレー。 まじめなんだかふざけてんだかなんなんだか、とにかく座ることに命かけてます感がウケルw てことでこちらも一緒にお買い上げ〜。日曜日の午後のガラガラの有楽町線(上り)で一人笑いをこらえながら読んでやりました。これで明日からの戦闘に備えようと思います。

そんなわけで、「世にも美しい数学入門」はまだなのです。早く読みたいな。

豊饒の海 第一巻「春の雪」

Bonne nuit!とか言いましたがこれだけは今日書いときたい。三島由紀夫 豊饒の海 第一巻「春の雪」、読み終えました。パリ往復のヒコーキの中で。イッキに読みましたよ、もう。こないだピアノの先生と初版本で盛り上がって三島トークしてくれた時、「読んでないの!?あんた学生時代何やってたの!」とのお叱りを受けましたが、ほんと、その通りです。すいません。仮にも文学部の学生だろうがと。ああ。

三島由紀夫。なんて美しい文章を書くのだろう。「潮騒」を読んだときも美しい、と思ったが、それとはまた違う美しさ。沈鬱な雰囲気、憂いを帯びているが故の美しさとでも言えばいいのか。以前に超音速氏が彼の文章を関数と表現していたのが記憶に残っているが、関数、その表現まさにそれ。全てが計算し尽くされたかのような文体。でも関数でありながら、そこから紡ぎ出される言葉は音楽のように響いてくる。私はひたすらその美しい音楽に酔っている、そんな感覚。「春の雪というにはあまりに淡くて~」のくだりで一気に涙が溢れて、最後の20ページくらいは涙流しながら読んだ。泣ける、とかじゃなくて、涙が出てくる。そんなかんじ。いや、泣けるっちゃ泣ける。確かに泣ける、悲しい恋ですよ。でもそうじゃない。涙が出る。三島の描き出す人の哀しさに、そして美しさに心揺さぶられて涙が出る。とにかく、こんな読後感久しぶり。最後の1ページを読み終えた後、しばし放心。お空の上で。あとはぼーっと窓から空を眺めていました。

しかしまあ、これを映画化しようって、チャレンジャーですね。こんなん映像化できるのだろうか?この文章を?まあ、別物として楽しむしかないでしょうね。そらそうだよね。文学への冒瀆にならないようにスバラシイ作品作ってください。たのんます。

おフランスな本

パリに行く前に読んでおきたい本がふたつばかりあり、それらをようやく読み終えた。

エッフェル塔試論まず松浦寿輝「エッフェル塔試論」。こちらはまいどおなじみ超音速氏にオススメされて思わずamazonポチっとなしてしまったもの。超音速さんもおっしゃってます通り、超絶ムズイ。ええ、そりゃもう。なんかもう、ちまちま読んでたら読むのに一ヶ月近くかかった…orz一気にガーーーッと読みたいところだが、そうはいかない。辞書なしで読めん。知恵蔵と辞書傍らに、すっごい頭使いながらじっくり読み進めました。ぼーっと読んでると頭に内容が入って来ない。腐りかけた頭に素晴らしい刺激。

そんなムズカシイ書物(「書物」という表現がぴったりだ!)ですが、がんばって読んでみるとこれ、内容がとてつもなく興味深い。建築の専門家かと思いきや、フランス文学のセンセイでいらっしゃる。文体がまたよい。最初読み始めるのに尻込みして、なぜか跋を先に読んだのですが、この跋だけでもえらく感動してしまった。これまじでパリ行く前に読んでよかった。そしてこれを読んだ後にパリ行って実際のエッフェル塔を見ることができる、それに上ることができる、これ、とても幸せなことです。これ読んでから行くのと読まないでいくのとじゃ、エッフェル塔の感動全然違う。エッフェル塔の見方、体験の仕方が全然違ってくる。断言できる。素晴らしい書物をありがとう。

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉あともうひとつ。ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」。言わずと知れたベストセラー小説。私ミステリーてあんまり読まなかったけどちょいと気になりつつも、でもなんかやたらと雑誌とか帯とかで煽ってるのでなんとなく気乗りしなくて、でもなんかパリ行くよって言ったらいろんな人にこれ読んでから行けって言われたのでハードカバー上下2冊まとめて買ってきて、こちらは上の30倍くらいの速さでイッキに読んでやった。めっちゃおもしろかった。

象徴学とか図像解釈学とか美術史とかキリスト教とかの知識が得られます。ものすごく興味深い。思わず世界史の資料集引っ張りだしてきて参照しつつ読んでしまった。さらに、前述の「エッフェル塔試論」で得た知識やらエッフェル塔そのものがちらっと出てきたりしてにやけてみたり。

でも象徴学とか図像解釈学とか美術史とかキリスト教とかの知識のある人ならもっと楽しめるんじゃないかと思いきや、amazonのレビュー読んでみるとそうでもないようですねw でも私は普通に楽しめました。私の周りのみんなが薦めてくれたとおり、パリ行く前に読んでよかった。楽しみがまたひとつ、いや五つくらい増えました:-)
こちらは映画化も決定しておりルーヴル美術館での撮影も5月だっけ?始まるそうですが、この作品は映画化されるために書かれたようなもんなんじゃなかろうか。とか思ってみたり。だってこの小説自体が映画っぽいんだもん。これは映画化楽しみです。是非見たいです。