金髪

毎度お世話になってる近所のホンダ屋さん、いつも対応してくれる店員さんとはすっかり顔なじみになってしまった。年齢は20代後半くらいだろうか、いかにもバイク好きといったかんじの、物静かで優しげな青年である。

彼の髪は、目映いばかりの金色だ。初めの頃は、穏やかな雰囲気にその金髪が少々似つかわしくないような気がした。しかし何度もお店に行くうちに(主にブレーキレバーを買うため)だんだん愛着が湧いてきたようで、最近ではお店の前を通るときはなんとなくその金髪を確認するようになっていた。

先日、折れた右のミラーを生やすためにまたそのバイク屋を訪ねた。いつものように、あの店員さんが店頭で作業している。青いホンダの作業着を着て、手をオイルで真っ黒にして。ただ、いつもと違うことがひとつだけあった。あの見慣れた金髪が、落ち着いたダークブラウンになっていたのだ。

茶色は茶色で、彼によく似合っていた。やっぱり日本人だから、おそらく、たぶん、金髪よりもしっくりきているようにおもう。だけど茶色になってしまったその髪を見るにつけ、一抹の寂しさを感ぜずにはいられなかった。

なんで金髪やめちゃったんですか、なんて聞けるはずもなく、店を出る。バイクに跨り、彼が直してくれたミラー越しにもういちどその髪を見てみる。初夏を思わせる日差しに透けて、茶色の髪が明るく光った。それはまるで、金色のように。

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