analog.

友人とも同僚とも後輩とも役員ともつかない男の後輩が、かねてからの夢だったというカレー屋をオープンした。友人(以下略 曰く、ちょっと新鮮でなかなかおいしいカレーだそうで、ちょっこら食べにいってみようとおもった。

場所はどこだと聞けば、上石神井。高校がその隣の駅だったからよく知ってはいるけれど、今となっては行こうとおもって行かなければきっとかすりもしないだろう。そして地味に遠い。だもんで、なかなか機会を得なかった。

土曜日、夜は六本木でライブだけど昼間は暇なので、散歩がてら行ってみるか、と、西武新宿線に揺られ、地震でも揺られて、上石神井にやって来た。西武線の駅というのは、どの駅もみな似たような雰囲気を醸し出しているような気がするのはわたしだけだろうか。そして、そこはかとなく不思議な懐かしさをおぼえるのだ。

iPhone の地図をたよりに駅から歩くこと1,2分、なんてことない路地の角にそのちいさなお店はあった。時間は昼の12時ちょっと前。しかし、人の気配がない。嫌な予感がする。全面ガラス張りのお店に近づくにつれ、その嫌な予感が現実のものとなるのを直視せざるをえない状況になる。

やってない。

そんな話はチラチラ聞いていた。休みが不定期だとか、今日は出来がよくないから店閉めたとか、遅い時間だと売り切れていたとか。だけど最近は月曜定休で安定してきたらしいし、売り切れてしまわないようにとお昼にやってきたというのに。まだ開店前だったというのならば少々待つのも吝かではないが、人気もなければカレーの仕込みをしている様子もない。ああ、なんてことだ。電車賃返せ。

友人(以下略 に怨みつらみのメールを送ったら「ちょっとまって確認する!」という返信がきたもののその後音沙汰なく、ハラヘリすぎていたので向かいのパン屋でパンを買い、公園とも言えないようなちいさな緑地(ベンチのひとつすらないのだ)でそれをほおばった。なんだかひどく悲しい気持ちになった。

カレー、食べたかった。

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