漂流

漂流先月からの流れで個人的に吉村昭祭りになっていた。その中から1冊、「漂流」。江戸時代、嵐で難破し黒潮に流され無人島に漂着した土佐の船乗り長平の、史実をもとにした小説。

長平を乗せた船が漂着したのは、伊豆諸島最南端に位置する鳥島だった。水も湧かず、植物もまともに育たない無人の島で、仲間は一人また一人と倒れていく。そのような極限状態にあって、この長平の生き様が胸を打つ。無人島にたった一人取り残されて、まともな精神状態でいられるだろうか。ただ生きていることに感謝して、念仏を唱えて。すごいわ。。また、生活の手段。限られた資源からいろいろなものを作り出したりして生活していくわけだけど、それが可能なのもこの時代だからこそ。現代人がこの状況に陥ったら、あっけなく餓死していることだとおもう。

この小説において、あほう鳥はかなりの存在感である。貴重な食糧であると同時に、渡り鳥であるあほう鳥の動きと一緒に季節が移ろいでいく。その淡々とした時間の流れが切ない。なんだかあほう鳥にやけに親しみがわいてしまった。 そして、バランスのとれた食事と適度な運動というのは、今も昔も、都市生活でも無人島生活でも同じなんだなぁとしみじみ。食べること、そして生きることを改めて考えさせられた。

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