乳頭温泉郷 湯めぐりの旅

途中で嫌になってる感丸出しだけど、、いちおう絵日記。。

以下詳細 ※長文注意


未踏の地、秋田に行かねばならない。秋田ってーと、きりたんぽ? 程度の知識しか持ちあわせていなかったのだが、どうせ北にいくなら寒い時期に、豪雪の温泉地に行きたい。そんなわけで乳頭温泉郷へ行こうと決めたのは、一昨年の秋くらいだっただろうか。flickr で写真を見て以来絶対に行こうと決めていた、鶴の湯温泉。この旅館、乳頭温泉でも特に人気が高いらしく、ものすごく予約がとりにくい。結局1年先送りにした上、気合で半年後にあたるこの土日に予約を取ったのは昨年の夏。ついにこの秘湯に訪れることができるのだ。

2月17日(金)

当初は秋田新幹線で行くつもりだったが、経費削減のため夜行バス。わたしはべつに車中泊は苦ではないので、無問題である。東京は雪がちらついて、秋田に行く装備をしているにもかかわらずとても寒い。こんなんで寒波の来ている秋田の寒さに耐えられるのかと若干不安を覚えつつ、田沢湖~横浜を結ぶ高速バス「レーク&ポート号」は 22:20 に浜松町のバスターミナルを出発する。

2月18日(土)

朝6時前に車内のアナウンスで目が覚める。外は薄明るくなろうかというところ。雪はかなり本降りなかんじで、気温は -8°C の表示。横手や角館を経由して、8時に田沢湖駅に到着。バスを降りるとさぞや寒いのかとおもいきや、意外と平気である。昨夜の東京のほうがよっぽど寒く感じる。

とりあえず荷物整理をし、靴下にホッカイロを貼り、バイク用のカッパ(下)を着こむ。上着は前週に引き続きスキーウェア、そしてブーツには白川郷でゲットしたスパイクを装着。完全装備で R341 を歩き出す。時間があり余るほどあるので、とりあえず田沢湖に向かってみることにする。

田沢湖駅から田沢湖畔までは 7km 弱。普段なら大した距離ではないけれど、如何せん雪道だ。どうだろうとおもっていたが、わりと大丈夫だった。途中、ローソンに立ち寄る。雪の中で雪見だいふくと洒落込みたいのだ。しかし、ストロベリーショコラ味しかない。雪見だいふくはノーマル一択なので断念。チョコモナカジャンボという選択肢もあったが、1人なのでここはグッとと我慢。そして国道を逸れ、田沢湖へ。

田沢湖に着いてみれば、何もない(笑)。ひたすら白い景色が広がるだけだ。まあ、予想はしていたのだが。田沢湖高原にあるアルパこまくさという観光施設みたいなところまで宿の送迎バスが来てくれるので、そこまでは自力で行く。様子を見て無理そうだったら路線バスに乗るつもりではいたが、まだまだ時間はたっぷりあるし、雪も弱まってきた。歩けそうだな、てことで再び r127 を歩いて行く。

車はちょくちょく通るので、ああ、こんなとこ歩行者歩いててスンマセン邪魔ですよねホントスンマセン、とおもいつつ歩く。雪はやみ、日が差してきた。・・・暑い。暑いってなんだ。秋田に来て暑いってどういうことなんだ! フリースを1枚脱ぎ、背中のリュックに詰め込む。家を出る時ひよって1枚足したことを大いに後悔した。

通りすぎる車は秋田ナンバーが多いが、宮城あたりもよく見かけた。バスもけっこう多い。それから、今日泊まる宿の送迎バスらしき車もいた。歩いていると、地元ナンバーのオッチャンに声をかけられる。どこまでいくの? 乗って行くか? と。いやいや大丈夫です、歩きたくて歩いてるんで。とは言ったものの、けっこう疲れてきていたため、やっぱ乗せてもらえばよかったかな・・・なんておもってもみたり。

歩いていると、なんとなく先ほどに比べてグリップ感が悪くなっている気がして靴の裏を見てみる。大活躍だった白川郷のスパイク、片方なくなってしまっていた。もともと落っこちていたものだから、やはり落っこちてしまったのか。でも、これをまたどこかの誰かが拾って、また別のどこかの豪雪地帯に行く時に使ってくれたらいいなとおもう。旅するスパイク。映画化決定。

田沢湖スキー場の横を通り過ぎ、ようやく田沢湖高原温泉郷にたどり着く。ちょうどお昼時だったので、ジンギスカン食堂という食堂で昼ごはんを食べることにした。昭和のにおいのぷんぷんする食堂で、トイレはまさかの汲み取り式。ポットン便所、21世紀になって初めて見たような気がする。店名に冠しているだけあってジンギスカンを推しているようだが、ひとりでジンギスカンってのもな、てか家にジンギスカンあるんだよな、てことで、カツ丼。メニューにあって無性に食べたくなってしまったのだ。なんか海藻っぽいものが入っていて、普通のカツ丼とはちょっと違っていたが、それが秋田だからなのかこのお店だからなのかは不明。

この食堂からアルパこまくさまでは5分程度。送迎バスが来るまで時間があるので、持ってきた文庫本を開いてしばし休憩。ここに雪見だいふくがあれば、と思ったが、置いていなかった。チョコモナカジャンボもない。仕方なくアイスは諦める。バスがくれば、いよいよ今回の旅の目的地である宿へ向かう。r194 を逸れるといよいよ山奥という風情が漂ってくる。そして山奥の最果てに、その宿はあった。

鶴の湯温泉。「秘湯」というに相応しい佇まいだ。バスを降りるとさっきまで晴れていたのが嘘のように吹雪いており、あの門と古い建物が雪の中霞んでいる。テンションダダ上がりである。喜び勇んでリュックに詰めたままだった戦闘機を取り出し、構える。しかしじきにシャッターが切れなくなってしまう。どうやら露出計の電池が切れてしまっているようだ。姫路行った時もそうだったよな・・・。あの時はコンビニで電池が買えたけど、こんな山奥にボタン電池が売っているわけもなく、F3 はわたしの背中にのしかかるただの冷たい鉄の塊となってしまったのだった。

まあ、D80 と GRD3 があれば問題ない。ひとしきり撮って、受付へ。案内してくれるおばちゃんは当然秋田弁で、さすがにちょっと聞き取りにくい。電話予約した時、なんかぶっきらぼうで感じ悪いな、ほっといても客来るからって横柄になってんじゃないの、とかおもったのだが、そうではなくて、秋田弁のイントネーションと電話越しのかんじでそのように感じられてしまうだけだったようだ。宿の人たちは皆感じがよかった。別の用事で受付に行った時はおじさんが応対してくれたんだけど、「あれ、さっき歩いてましたよね?」と。見られていたw

部屋に案内される。本当はできれば「本陣」に泊まりたかったのだが、予約が取れず、2・3号館。でも2・3号館なら1人宿泊も可なので、一人旅にすることができてよかった。六畳一間でテレビも何もないけれど、部屋はとてもきれい。案の定 Softbank は圏外だが、これはかえってよかったかもしれない。この山奥にきて、ネットから離れ、外界と遮断された中で静かに温泉に浸かる。いいじゃないの。

というわけで浴衣に着替え、さっそく温泉へ。お風呂はいくつかあるんだけど、まずはやはり露天風呂。と、ちょうど送迎バスでも一緒だったオバサン集団もやってきて、もうこれが本当に騒がしい。コリャずらしたほうがいい、と別のお湯に浸かる。しばらくしてもういちど露天へ。ちらつく雪を愛でながら乳白色の温泉にゆったりと浸かる。これを幸せと言わずして何と言おうか。

露天風呂に浸かっているうちに、日が暮れる。辺りが薄暗くなってくると、また違う雰囲気を味わえる。夜にも入りに来よう。

部屋に戻ってしばし休憩し、じきに夕食の時間になる。2・3号館の宿泊客は、食事は本陣の食堂でいただく。食堂とは言っても食卓があるわけではなく、ただの畳の和室。囲炉裏があって、座布団が敷いてあって、その前にはお膳が据えられている。山菜中心の食事だ。席に着くと、給仕のおばちゃんが囲炉裏から岩魚の塩焼きや芋鍋をよそって持ってきてくれる。ここの食事、決して豪華なものではないけれど、変に気取ってなくて素朴な田舎料理ってかんじで本当においしい。となりのおじさんにつられて、芋鍋はおかわりもした。山芋苦手なはずなのに、すごくおいしかった。1人で来てる人もけっこういて、気さくに話しかけてくれる人がいたので、みんなで食卓を囲むかんじでとても楽しかった。

食事の後、少し休憩したらまたお風呂に行くつもりだったのだが、気づいたら寝ていた。目を覚まして、20時くらいかな、とおもったら、22時。なんとまあ3時間も眠りこけていたらしい。さすがに雪道歩いて疲れていたのか。

というわけで再びお風呂へ。内湯で身体を洗った後、露天へ。人も少なくなったし、真っ暗だし、せっかくなので混浴露天へ行ってみる。ちらほらオジサンもいるけど、暗いしお湯は濁っているからまあ大丈夫なかんじ。そこへ先ほど食堂で一緒になった常連らしきオジサンがやってきた。さっき食堂で、というところからはじまり、1時間以上ずっといろいろ喋ってた。露天はちょっとお湯がぬるめなので、長湯してものぼせないのだ。そんな話もしながら、お湯に浸かって見知らぬオジサンと全裸で長話とか、東京ではありえないよなぁ、なんかすごいなぁ、としみじみおもった。

なんだかんだで日付が変わってようやく布団に潜り込む。長い夕寝、いや夜寝?をしてはいたけど、じきに眠りに落ちる。

2月19日(日)

目が覚めたのは 5:30 くらいだっただろうか。朝早いうちにもう1度お風呂に入りたかったので、6時頃明るくなってきた頃に露天。さすがに人はおらず、貸切状態だ。なんて贅沢。今日も雪がしんしんと降っている。

お風呂から上がって、宿のまわりを散歩しつつ写真を撮る。7時半頃、朝食。食堂に行くと、ちょうど昨日のオジサンもやってきた。別のオジサンは朝からビールである。みんなそれぞれの山の朝を楽しんでいる様子。朝食も昨日と同様、山菜中心。子供の頃山菜とか全然好きじゃなかったのに、こういうものがほんとうにしみじみおいしい。梅干しは好きじゃないんだけど、食べたらおいしかった。とろろだけは無理だったので残した。ごめんなさい。

今日は鶴の湯以外の乳頭温泉をめぐる。宿泊客限定の「湯めぐり帖」を購入すると、乳頭温泉郷の温泉7箇所に入れるのだ。鶴の湯とそれ以外の温泉はかなり離れていて、徒歩ではさすがに厳しい。けど、それ以外の温泉は徒歩圏内にかたまっているので、そこまで「ゆめぐり号」なるシャトルバスで行けばオッケーだ。

9時、バスが出発。乗客はわたし1人、まずは蟹場温泉へ。ここは混浴露天が雰囲気よさそうだったけど、さすがに断念。女性専用の露天に入る。鶴の湯の露天のお湯はぬるめだったのだが、ここはちゃんとほどよく熱くてよかった。
お次は大釜温泉。ここは廃校になった小学校の木造校舎を移築した宿だそうで、外観まさにそんな風情で建物内部もノスタルジックな雰囲気が漂う。

続いて孫六温泉。ここは大釜温泉から 800m ほど離れていて、車では行けない。歩いて 15分程度だが、やはり人が少ない。歩いて行くと景色が開け、そしてさらに奥に宿の古めかしい建物が見えてくる。その佇まいはまさに秘湯。これを見ると鶴の湯が観光地化された場所にみえてくるくらいだ。荒削りな雰囲気がとても気に入った。
再びもと来た道を戻り、お次は妙乃湯。と行きたいところだけど、そろそろお昼時である。お腹も空いた。ということで、いったん妙乃湯を素通りし、休暇村乳頭温泉郷へ。ここでお昼ごはん。きのこの稲庭うどんを食べた。そして。

雪見だいふく! ようやく見つけたノーマル雪見だいふく。君に会いたかった。雪の中で、これぞ本当の雪見だいふく。できれば雪の中でチョコモナカジャンボもしたい。これはまた今度、誰かと一緒の時に半分こいたしましょう。

お腹も満たし、アイス欲も満たし、いよいよ最後の妙乃湯温泉へ。ここは他の温泉と違って、和モダンな雰囲気。中も新しくてすごくきれい。川沿いの露天風呂が有名なようだけど、これが混浴。どうしようとおもっているところへ、大釜温泉でも見かけた若い女性二人組。同じく「どうする?」「オッサンいるよ」「見られたくないっていうか見たくないんだよね」とか言い合っている(笑)。で、彼女らが行ったので、わたしも意を決して行く。景色がよく、ちょこっと入れてよかった。

黒湯温泉は冬季閉鎖なので今回は入れず。他の季節にリベンジ決定。

さて、ここで15時、日帰り入浴が終了のお時間。さすがに今日は駅までは路線バスに乗るつもりだが、暇なのとさっき体重測ったらえらい増えていたし、帰りのバスの時間まではまだまだあるので、少しだけ歩くことにする。

というわけで、アルパこまくさまで歩いた。まだまだ余裕で歩けるかんじではあったものの、ここでやめておかないとわたしのことだから全部歩いてしまいそうだったし、暗くなると危険だろうし、1時間に1本程度のバスを待つのに暖かくゆっくりできる場所がこの先あるか不明だったので、ここで徒歩移動は終了。濡れた靴下を乾かしつつ、文庫本を開いて駅に行くバスを待つ。

バスに乗り込んで走ってみると、けっこう距離があるように感じる。こんなんよく歩いてたなぁとおもう。そして田沢湖駅。駅近くのスーパーで、わたしの大好きな地元スーパーチェックのお時間です。しかしこのグランマート田沢湖店、大きいのはいいんだけど、別に安くもないし、ちょっとしたお土産があるくらいで地元の特別なものがあるわけでもなく、やや期待はずれだった。あでも、惣菜コーナーにきりたんぽ鍋があるあたりは秋田っぽいと言えばそうか。周辺のお店ももう閉まってしまっているので、ここで適当にパンとおやつを買って、バスの中で晩ごはんとする。

20:20 、定刻きっかりにバスが出る。秋田にあって、江ノ電バス。羽後交通と提携しているらしい。車内でじゃがりこをつまみつつ、じきに眠る。翌朝6時、浜松町バスターミナルに到着。帰宅すると、ネコは外で待っていた。

ところが、家の鍵がない。あれ? なんで?? 普段はリュックのポケットに入れてるはずなのに、なぜか見つからない。玄関の前で荷物をすべてぶちまける。ない。なんでなんで??? あ。スキーウェアの胸ポケットに入れたんだった・・・。床にぶちまけた荷物を戻しつつ、何やってんだろ、と、急に現実に振り戻されたのであった。

というわけで、念願の秋田行きが無事に終了。鶴の湯温泉、ほんと最高だった。他の季節もいいだろうな。黒湯温泉にも行かなきゃいけないから、ぜったいまた行こう。そして、これにて地図はコンプリート・・・いや、よく見てほしい。沖縄が緑だ。そう、次なる、そして最後の目的地は沖縄である。地図を赤く染める計画、全国制覇まで残すところあとひとつ。

写真:GRD3 20/287, D80 8/157, iPhone 0/16 [Flickr]

One thought on “乳頭温泉郷 湯めぐりの旅

  1. by 食鉄 at

    絵は、ぷちともちゃんが書いたんだよね?
    写真も上手ですけど、絵も上手いですね~!!
    あっぱれ!!

    返信

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