大寒

朝、ネコに叩き起こされて窓の外の音に耳を傾けると、雨音がした。ああ、雪は降らなかったか。いや、もしかしたら降ったのかもしれないけど、うっすらでも積もっていつもと違う雪景色の朝、とはならないことは確かで、いくぶんがっかりした。だけど空気はたしかに雪のふる日のキンと凍るそれで、朝ごはんの支度をしていると窓についた水滴がつるりとサッシをつたって落ちる。今日は弟の誕生日だ。

わたしは、仲が良いとは到底言えない兄の twitter をこっそり読んでいる。彼はその中で、自身の境遇を憂えたり、好きな音楽、鉄道、バイク、気象のことなど、いろいろ書き綴っている。普段の会話なんてものは皆無なので、知らなかった一面を垣間見ることができて、兄のことを少しわかったような気がするのだ。日記を盗み読みしているようで、若干罪悪感を覚えるのは、彼がわたしが読んでいるということを知らないからだとおもう。もっとも twitter は全世界に向けて公開されているものだから、盗み読みとは言わないんだろうけど。

兄はそこで、時折家族のことにも言及する。親はもちろん、弟や下の妹のこと。だけど、上の妹、つまりわたしのことには、一切触れない。上の妹の存在は、完全に無視されている。おそらく兄の follower のほとんどは、彼に妹がふたりいるということを知らないだろう。今日は弟の誕生日なので、その旨の発言をしていた。たしか去年もしていた。それで、その12日後には妹の誕生日の旨の発言をしてくれるのかな、なんて淡い期待を抱いたのだけど、そんなものは無惨にも打ち砕かれたのだった。

兄は、わたしのことをかなり憎んでいた。憎悪だ。ただ、昔にくらべればマシになっているんじゃないかという希望的観測があり、今現在、兄がわたしに対してどんな感情を抱いているのか、とても知りたいという欲求がある。彼の twitter はその大きなヒントになるとおもったけれど、その中でわたしの存在が無視されているということは、つまりそういうことなんだろう。わたしはそのことが、わりとかなしい。

今日は都内でも雪になったようだけど、わたしの見た範囲では霙が混じる程度で、雪らしい雪にはならずに終わった。雪になりきれない雪なんて、なんだか自分を見ているようで、すこし切ない。

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